第19話 コミュ障ここにあり
コノエが幌に戻り再び1人になった俺は、出発した時とは違い一人の現状に寂しさを覚えていた。人は一度喜びを知ってしまうと、後戻りは出来ない生物なんだなぁと、くだらない事を考えていると……。
「ねぇシルト、隣座っていいかな?」
今度はカフカが俺の隣へと来た。
「も、もちろん!どうかしたのか?」
緊張で少し声が上擦ってしまった。恥ずかしいな。
「ふふっ…変なの。コノエが戻ってきたからシルトが寂しい思いしてるだろうな〜って思ってね」
カフカは悪戯っぽい笑みを浮かべながらそんな事を言う。反則級の可愛さだな。
「そんな事……まぁ無くは無いけど……」
コノエとは違って、カフカとはあれ以来、二人で話す機会は無かった。だから正直、7年ぶりの彼女との距離感を、まだ掴みきれてない所があり緊張してしまう。
「コノエとは上手くやれてるみたいで安心したわ。」
「これもカフカのお陰だよ。カフカが居なかったら、俺もコノエも一歩踏み出せてなかったよ。」
「コノエも……? でも、シルトは変わらないわね。少し不器用だけど、優しくて面倒見が良い………あの頃のまま」
「ありがとう、でもカフカは結構変わったよね。お淑やかになったっていうか…聖女としての振る舞いが身についてるみたいな? 村に居た頃は結構なお転婆だったけど……」
「うっ、うん…ソウダネ、私ハ聖女ダカラネ…………」
何か少し様子がおかしい気もするが、まぁ気の所為か。
そんなこんなで、『ギナウダンジョン』の近くにある街『ゴマタ』までの道のりは、カフカと雑談をしながら過ごした。




