第17話 静かなる決意
あれから、一通りの買い物を終えたものの、辺りは日が沈み夜になってしまっていた。
「やっぱり、S級冒険者ってだけあって頼りになるね。これで、明日からの冒険も安心だね!」
「いやいや、冒険にはトラブルは付き物だ。いくら準備したって安心は出来ないぜ」
「なるほど勉強になるよ。そうだ!遅くなってしまったし、ついでにご飯でもたべていかないかい? 付き合ってくれたお礼に奢るよ」
レイスが近くの高級料理店を指しながら、嬉しい提案をしてくる。
「お言葉に甘えてご馳走になるとしようかな」
「よし!じゃあ、行こうか」
俺の返事に、レイスは上機嫌に返してきた。
なんだコイツ可愛いな……もしかして、俺に気があるんじゃ………………?
……あっぶねぇ!何を気持ち悪い事考えてるんだ俺は……。モテないからって自意識過剰な気持ちの悪い妄想は大概にしとけよな……はぁ…………。
~~〜~~~〜~~
もうサイアク……!
私こと、キャルメル・バータムは現在、折角の優雅なディナータイムに水を差されて非常に機嫌が悪い。
なんでレイスとあの男が一緒に来店してくる訳!?
しかも、近くの席に来たせいでバレないように顔を隠す羽目になったんだけど!
あ、向こうで何か話してる……。
「改めて今日はありがとう。君がいたおかげで助かったよ明日からもよろしく頼むよ」
「あぁ、任せてくれ」
何よレイスの奴、あんな男と親しげに話しちゃって!
レイスがどうしてもって言うから勇者パーティ入れてやったのに……。もしかしたら、他の男とは違う見所のある奴が来るかもって期待したのに! 何がS級冒険者よ! 何が「可愛い子ばかりでサイコー」よ、舐めるんじゃないわよ!
レイスもカフカもあんな男の何処がいいのよ!
……!? そうよ!
きっと、騙されてるんだわアイツに…………。私が二人を助けないと! コノエだって純粋な子だし、いつアイツの毒牙に掛かるか心配だわ!
追い出すのよ! あのシルトとかいう男を!
明日からの任務で、あんな奴が居なくたって私達は十分やっていけるって証明してやるわ!