第15話(幕間) シンキング・バスタイム
「なんだか、ややこしい事になっちゃったなぁー」
勇者こと、僕レイス・ランスは宿の湯船に浸かりながら、物思いに深ける。
シルトを勇者パーティに招待したという話になった時、それに反対するものは居なかった。にも関わらず、今日の顔合わせでは、シルトに可哀想な思いをさせてしまったな…。
キャルメルは、少し素直じゃない所があるけど、会議の時点では反対なんてしてなかったし、初対面の人にあそこまで酷い拒絶をするなんて、何かきっと理由があるはず………。
コノエは、かなりの人見知りだから、来るのが嫌になってしまったのだろう。コノエの性格を知って居たのに、気にしてあげられなかった事が情けない。
シルト………僕の命の恩人…………。
彼の事を考えると、なんだか心臓の鼓動が早くなる気がする。もしかして、これがいわゆる………。
少し恥ずかしい妄想をかき消すように、湯船に口まで浸かり、ブクブクと泡を立てる。僕は勇者だ、世界を救う使命がある。そして、それにシルトを巻き込んでしまった。ならば少しでも、彼の居心地の良い様に手助けするってのは、当然のことだろう。
何か、みんなが仲良くなれる様な秘策を考えなくては………。
お風呂から上がり、髪を乾かしながら、そんな事を考える。あまり色々考えるのは得意じゃないんだけどね………。




