第14話 家凸忍者
「ただいまー…って誰も居ないけど………」
悲しい独り言を言いながら、家へと入る。
「あ…お、おかえり…なさい…シルトさん……」
そんな独り言にまさかの返事が返ってくる。
「うぇ?!……だ、誰だ!」
少し取り乱したものの、声のする方へと視線を向ける。そこには、暗い部屋の隅で、明かりも付けずに三角座りしている少女が居た。
「あっ…いや、その、せっしゃ…名を、コノエと申す!」
少女は慌て立ち上がり、弁明するかのように名前を名乗ってきた。
コノエと名乗るその少女は、まだ13、4歳ぐらいの幼い見た目で、濃紺の髪をポニーテールにしている。
「コノエ…?もしかして、今日顔合わせに来なかった、あの…?」
「あ、あぁ!そうです、そのコノエです、今日はホントすみませんでした……。」
「えっ…あぁ…うん、大丈夫だけど…」
なんだか、よく分からない状況のまま会話が続く。
「てか…そもそも、なんで俺ん家にいるんだ?」
「あっ、それは……その、拙者、隠密行動が得意で、実は顔合わせの途中から、近くで息を潜めていたんです……」
ここで、なかなかの衝撃的な事実を告げられる
「えっ…いつから?なんで隠れてたんだよ?」
「居たのは、キャルメルさんが出ていったぐらいの時からで、隠れてたのは、登場するタイミングを見失ってしまって……そのまま帰ろうと思ってたんです……」
良かった、俺の最悪の自己紹介は聞いてなかったらしい。
「じゃあなんで、こんな所に居るのんだ……?」
「それは!……公園でのお話しを聞いてまして………カフカさんが、わざわざ拙者のフォローをしてくれてるのを聞いて、このままじゃダメだって、思って………あの!拙者と仲良しになって頂けませんか?!」
なんだか突拍子の無いことを言う子だ。でも、この子なりに、頑張って苦手を克服しようと頑張って居るんだ。人付き合いを諦めて、万年ソロ冒険者だった俺と違って…。
「ダメでしたか……?そ、そうですよね…急に迷惑ですよね拙者となんか…すみませんでした……」
「そんな事ない、これから一緒に冒険する仲間だろ?それなら、もう家族みたいなものだろ!」
あ、家族はちょっと言い過ぎたかもしれない。
「か、家族!?そ、そうですよねファミリーみたいなものですよね?!これから、よろしくお願いします!」
しかし、コノエの反応を見る限り、意外と悪くない様子だ。
こうして、色々おかしい所もあったが、無事にコノエとも顔合わせを済ますことが出来た。
これにて一章は終わりですが、一話だけ幕間を入れます。