第13話 夜の公園で
うぅ…思ったより一品が大きい店だった……。
それでも3人で協力して、なんとか食べ切る事が出来た。
「ご馳走様でした。ふぅ…なんとか食べ終わったね……」
「ご馳走様です。えぇ…あのメガステーキが来た時は終わったと思ってたけど……なんとか、食べきれるとはね………」
「ご馳走様。じゃあ、とりあえず店を出ようぜ…」
勘定を済ませて店を出る。今日はこのまま解散する事になった。そういえば、カフカから話したい事があると言われてたがどうなったんだろうか。
「あ、シルト…ちょっと公園まで良いかな?」
カフカが手招きしてくる。
「あぁ、勿論いいぜ」
何を言われるのだろう。ドキドキしてくる。
公園に着き、二人でベンチに座る。
「今日のキャルメルとコノエの事だけど、許して上げて欲しいの…」
「あぁ…その事ね、うん…。全然気にしてないぜ」
どうやら期待していた様な内容ではないらしい。
「キャルメルは少し意地っ張りな所と見栄っ張りな所ががあって、今回はそれが悪い出方をしちゃったんだと思うの、あの子も本当は優しい子なのよ……」
優しい……。彼女には、かなりの軽蔑的な視線を向けられてた気もするが、カフカがそう言うなら、そうなのだろう。
「コノエはかなり人見知りを拗らせちゃっててね。でも、それは仕方ない事なの……」
それからカフカは、コノエという子について色々教えてくれた。
幼い頃から忍者としての訓練を受けていたコノエは、7歳という年齢で、勇者パーティへと招集されたそうだ。
遠方からの招集という事もあり、忍者という特殊な職業を訓練出来るものはここら辺には居らず、基本的な訓練や勉強以外は、常に一人で自主練習をしていたらしい。
勇者パーティのメンバーも招集されて数年は、そんなに関わる機会も無く、その数年間をコノエは文化の違う国で一人寂しく過ごしていたらしく、その為、勇者パーティのメンバーと打ち解けるにも、なかなかの時間が必要だったそうだ。
「だから、シルトは何も…(自己紹介以外は)悪くないし、あの二人にも事情があるって知って欲しくて……」
「そっか、ただただ歓迎されて無い訳じゃなかったんだな。ありがとう教えてくれて。」
カフカの優しさが胸に染みる。まだ不安が残るが、これから旅をする中で、二人とも打ち解けれるよう頑張ってみよう。
「まだ話し足りないけど…もう遅いし、帰りましょうか」
「あぁ…時間ならこれからいくらでもあるし、またな」
そう言って帰宅してから、こんな夜中に一人で帰らすのではなく、宿まで送ってあげるべきだったと後悔した。