第11話 ノー歓迎 ノーライフ
勢いよく開いたドアの先に居たのは、二人の少女だった。
彼女らの視線が、俺の事を見透かすかのように感じられて居心地が悪い。気圧されそうなのを堪え、少しでも緊張を隠すように胸を張る。
「じゃじゃーん!新メンバーのシルト君でーす!みんなー拍手してー!!」
パチパチと小さな拍手が鳴る。
「ご紹介に預かりました シルト・クルトです。今まではここ王国で16歳という若さでS級冒険者やってました。勇者パーティは可愛い女の子ばかりでサイコー!って聞いたのでやって来ました………はい」
いや〜な静寂が部屋を覆う。
あー……やっちまった……………カスみたいな小ボケを挟み見事に滑った………いや、寧ろただの嫌なヤツになっちまった。
「えーじゃあ ……次はカフカに自己紹介してもらおうかな!」
さっきの自己紹介は、レイスにもフォローを諦められるレベルだった様だ。
「久しぶりだねシルト……一応自己紹介しとくと、カフカ・オース18歳、今はこの勇者パーティで聖女をやってるよ」
生糸の様な白い髪に宝石の様な赤い目、女性にしては長身ながらそのプロポーションは完璧。久しぶりに会った彼女は更に美しくなっていた。昔はお転婆だった彼女もこの7年でお淑やかになった様で、聖女という職業にピッタリの雰囲気になっている。
何やらもう一人のメンバーの子が、信じられないものを見る目をしているが、俺と知り合いだという事を知らなかったのだろうか。
「じゃあ次はキャルメル」
「………まず初めに言っておくけど、私はアンタみたいな軟派そうな男の加入は認め無いわ」
キャルメルと呼ばれた少女はそう不機嫌そうに鼻を鳴らす。
え?……レイスは満場一致で歓迎します!みたいな言い方してたけど、そうでも無かったのか……?
「そして……私の半径10メートルには入って来ない事、とりあえずこれだけ守ってくれたらそれで良いから、なるべく関わってこようとしないでね」
そう言って彼女は部屋を去る。
「ちょっと!どうしたのさキャルメル!?えぇ………?すまない……いつもはこんな子じゃないんだよ?なんだか機嫌悪かったのかなぁ?………彼女はキャルメル・バータム 魔法使いだよ。」
なんだか上手くやってけるのかが不安になる。
「一つ気になってたんだが、勇者パーティって俺を入れて5人になるんだよな?もう一人メンバーは?」
「うーん……まさか顔合わせにすら来ないとはね……… 今日来てない子は、コノエ・フウリンって子で、すっごい東の国の出身で、忍者って特殊な職業を名乗ってるんだけど… ちょっと…… いや、かなりの人見知りでね……」
なんだかいつもウザったいぐらいのキラキラオーラを出してるレイスが、なんだかゲッソリとしていて新鮮だ。
「もう、あの子達は一旦ほっといてさ、シルトの歓迎会しようよ。久しぶりに話したい事もいっぱいあるし!」
カフカが流れを変えるように提案する。
話したい事があるなんて、なんだかドキドキするな。
「そうだね 今日のところはこの3人で歓迎会だ!」
こうして、俺の勇者パーティへの顔合わせは、これから先がなんとも不安になる様な形で終わった。