スリーピングビューティー 其の二
オーロラ姫が眠るという城へ、王子様がやって来ました。
お城を囲んでいた棘を抜け、王子様はオーロラ姫が眠る部屋を見付けました。
眠るオーロラ姫のそばへ寄ろうとした王子様は、ふと別の気配に気付き、辺りを見回しました。
「何だ、てめぇ」
言葉遣いの悪い王子様が、別の入口から入って来ました。
「何って……俺は王子だよ」
「けっ、何言ってやがんだ。王子は俺様だ」
「あの……きみ達は誰?」
また別の声がしてそちらを向くと、さらに別の王子様が来ていました。
「どうしてこんなに王子がいるんだぁ?」
「さぁ。ぼくもよくわからないけど。ぼくはオーロラ姫を捜しに来たんだ」
「俺だってそうだよ」
「俺様も、すんげー遠い国から来たんだぜ」
王子様達は自分が一番に来たんだ、と言って譲りません。
こうなったら決闘だ! ということになり、それぞれが剣を抜こうとした時です。
「ありがとう、王子様」
突然、オーロラ姫の声がして王子様達がそちらを向くと、さらにさらに別の王子様が現われていて、彼がオーロラ姫を起こしたようでした。
「あーっ! ズルい!」
王子様達は声を上げましたが、相手は涼しい顔です。
「つまらんケンカなんかしてるからだ」
そう言って、オーロラ姫と一緒にさっさと出て行ってしまいました。
後に残った王子様達は、お互いの顔を見て、がっくりと肩を落としたのでした。
めでたしめでたし。