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桃太郎 其の二
おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃がドンブラコと流れてきました。
それを持って帰り、おじいさんに見せると、大喜び。さっそく食べようということになりました。
おばあさんが包丁で切ろうとすると、桃がパカッと割れ、中からかわいい男の子が飛び出しました。
「お、ちょうど真っ二つ。じゃ、わしはこっちをもらうね」
「じゃ、私はこっちの半分」
ふたりして半分になった桃を食べ始めました。
「あの~」
放ったらかしにされた男の子は、そっとふたりに声をかけました。
「あぁ、ごめん。ボーヤも食べる?」
おじいさんはすでにほとんど食べていたので、おばあさんが自分の桃を男の子に分けてあげました。
「桃は早く食べないと、変色するからねー」
「そ、そうですね……」
渡された桃を食べながら、もしかしてえらい所に拾われたかも、と考える男の子(名前はまだない)なのでした。
めでたしめでたし。