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鶴の恩返し 其の二
おじいさんとおばあさんの所へ、おつうという娘がやって来ました。
「あたし、機織りしますね」
ある日、おつうはそう言って、部屋へ入って行きました。
「あんまり無理しないようにね」
「はーい。あ、そうだ。おじいさん、おばあさん。あたしが機を織ってる間、鶴になるから、覗かないでね」
おつうはそう言うと、障子を閉めました。
「……」
おじいさんとおばあさんは、しばらく無言でお互いの顔を見ていました。
「あいつ、すごいことをカミングアウトしていかなかったか?」
「でも……たぶん、あの子は気付いてないと思うよ」
障子の向こうから機を織る音が聞こえてきましたが、おじいさんとおばあさんは気にしないで寝ることにしました。
めでたしめでたし。





