表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/57

三匹のコブタ 其の二

 ある所に、仲のよい三匹のコブタ姉妹がいました。

 三匹はそれぞれ自分達のおうちを作ろうということにし、長女はわらで、次女は木の枝で、そして、三女はレンガでおうちを作りました。

 どのおうちも上手にできて、コブタ達はみんなで喜んでおりました。


「けっ、こんなしょぼくれた小屋なんか作りやがって」

 ある日、狼が現われ、長女と次女のおうちを次々に吹き飛ばしてしまいました。

 コブタ達はおうちを失い、急いで三女のいるレンガのおうちへ逃げ込みました。

「レンガか。これは少しばかり難航するかもな。ま、この俺にかかればレンガだろうと何だろうと、知ったことじゃないぜ」

 吹き飛ばすのは無理だろうと思った狼は、まずは試しとばかりにレンガの壁を蹴ってみました。

 その途端、ガラガラと大きな音をたてて、レンガのおうちは実にあっけなく壊れてしまいました。


「きゃああっ」

「……」

 ガレキに囲まれるようにして、三匹のコブタが震えています。

「おいっ」

 狼に怒鳴られ、コブタ達がびくっと震えました。

「このレンガの家を造ったのは誰だ」

「あ……あたし、です」

 三女が恐る恐る手を上げました。

「わらや木ならわかるが、どうしてレンガ造りの建物がこうも簡単に壊れるんだ。お前、どういう建て方をしたんだ」

「え、えっと……レンガを積んで」

「まさかとは思うが、積んだだけとか……?」

「だ、だって、レンガのおうちなんて、どうやって作ったらいいのかわかんないもん」

「だからって……あのなぁ、つなぎになるような泥とか、そういうのを間に挟もうとかは思わなかったのか?」

「そんなことしなきゃいけなかったの?」

 コブタの言葉に、狼は完全にあきれてしまいました。


「積み木じゃないんだぞ。ドアの開閉なんかして、よく今まで崩れなかったな」

「あの、ドアは開かないの。立てかけてただけで」

「? じゃ、どうやって出入りしてたんだ」

「出入りする隙間の分だけ、レンガを積まなかったの。あと、天井ってどうやって作ったらいいかわかんなくて。未完成のおうちなの」

「……それは『おうち』じゃない。単なるレンガの囲いだっ。ちゃんと作り方を勉強してから作れっ。いいか、だいたいお前らはみんな、基礎工事からしてなってない。まず土台をだな……」

 ガレキの中で、なぜかいきなり大工さん養成講座が開講されたのでした。

 めでたしめでたし。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ