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白雪姫 其の一

 継母に殺されそうになった白雪姫は、お城を出て小人達がいる小屋へとやって来ました。

「こんにちは。白雪姫です。あの、話は聞いてもらってると思うんだけど」

 小屋の中にいた小人達は、きょとんとして顔を見合わせました。

「話って……何か聞いてるか?」

 小人Aが言いました。

「さぁ」

 聞かれた小人Cが肩をすくめました。

「我輩も聞いていないが」

「ここ最近、回覧板は来てなかったよね?」

「おいらも知らなーい」

「スマホにもパソコンにも、そういうメールは入ってないよ。LINEにもないし」

 念のために調べた小人Bが言いました。


「え、ちょっと待って。あなた達は小人でしょ?」

 白雪姫は慌てて言いました。

「アリから見たら、巨人に見えるかも知れんがな」

 小人Dの言葉に、他の小人達はどっと笑いました。

「で、でも、白雪姫は小人に助けられることになってるのよ」

 白雪姫は必死に訴えました。

「小人が助ける? 俺達、人助けを商売にした覚えはないぜ」

「海なんかにいる、らいふせぇばぁって奴? あれ、かっこいいやぁね」

「けどさ、ここは海じゃないよ。それに、あれって免許だか資格だかがいるんじゃないのかな。オレ、そんなの取ってないし」

「救命士……警察官……医者……他にも人助けの職業はあるだろうけど、私はどれもやったことがないなぁ」

「今からでも勉強する? どれが一番早くなれるかな。おれ、必殺仕事人あたりならすぐにできそうな気がするんだけどさ」

「それって、微妙に人助けから外れないか? だけど、俺もやるとしたら、それが一番手っ取り早いか。あの仕事に資格はいらないだろうしな」

「だが、オーディションなどがあるかも知れんぞ。あと、()り方に注目されることも」

 話はどんどんそれて、小人達はわいわい騒ぎ始めました。


「あ、あの……ストーップ!」

 白雪姫の制止で、小屋は静かになりました。

「ねぇ、あなた達は七人の小人でしょ」

「え? オレ達、七人もいたっけ?」

「いちいち数えたことがないからな。気にしたこともないし。せっかくの機会だから数えてみるか。俺、一番」

「あー、おいらも一番がいいだぁよ」

「ずるいよ、先に言うなんてさ。おれだって一番がいいっ」

「うるさいな。早い者勝ちだ」

「なら、私は百番で」

「じゃあ、オレは……666にしとこっかな」

「我輩は……そうだな、5963あたりにしておくか」


「ダメーッ!」

 再び白雪姫はストップをかけました。

「それじゃ、数える意味がないでしょ。いいわ、あたしが数えるから。こっちの端から順にいくわね。えーと、1、2、3、4、5、6……ねぇ、七人目は?」

「これで全員だよ。きみを入れるなら、七人ということになるけど」

 小人Bが言いました。

「ええっ? あの、ここって七人の小人の小屋じゃないの?」

「そのように呼ばれたことは、これまで一度もない。我々は『爆裂愉快な小人達』だ」

「じゃあ、七人の小人の小屋は?」

「そこへ行きたかったの? あいつらの小屋は通りを渡って、郵便局の角を曲がってからパチンコ屋さんの看板を目指して行けばいいよ。その看板に負けず劣らず、大きな表札があるから。すぐにわかるよ」

「そうなの? ごめんなさい、小人違いだったわ」

 小人Fに教えられ、白雪姫は小屋を出て行きました。


「よぉ、妙な奴が今から行くって、七人の小人に教えてやった方がいいんじゃないか?」

 小人Aの言葉に、小人Eは軽く肩をすくめました。

「そんなに警戒する程の子でもないっしょ」

「でも、教えてあげた方が親切かもね。おっちょこちょいみたいだし」

 小人Cが思い出し笑いをしながら言いました。

「じゃあ、私がしておこうか」

「いや、我輩がする。Bがすると、説明が長くなって、話が終わる前に白雪姫が到着しかねん」


 こうして、本当の七人の小人達は、白雪姫が来ることを事前に知ることができたのでした。

 めでたしめでたし。

03年~06年にかけて書きためたものです。

友人のトルコ語教材で

「白雪姫は待っていたが王子は来なかった。この続きを考えなさい」

というものがあり(語学教材にしては変わった問題だなぁ。みんな、こんなもの?)友人と冗談であれこれ考えました。

そして、調子のりの私は他の物語でもあれこれ考え始め……。

これから何が出て来るか、楽しんでいただければ嬉しいです。

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