怠惰
今回は大人向けです。
「怠惰な人って太ってる人多くない?」
「それって、私への挑戦状?」
幼馴染のアキラが突然そんなことを言い出した。
あまり動くのが好きじゃないし、家にいるのが大好きな私はちょっと太り気味だ。いや、正直に言おう。太ってる。ええ……。
「挑戦じゃないけど、正直な感想」
アキラは正直者だ。
うん、空気をまったく読まない奴。
大昔友達の誕生日会で、友達のお母さんの太ももを見て、「すごい、きれい。大根みたいな足」って褒めたことがある。
そのお母さん、蒼白な顔して、周りの空気も凍ったな。
あの後、どうやって雰囲気を取り戻したのか、今となっては覚えていない。
「ちょっと運動したほうがいいと思うんだ」
「運動か……。好きじゃないんだよね」
「俺、いい運動知ってるよ。部屋でできる奴。やりたい?」
「どんな運動なの?機材とか使うの?」
「使わない。使わない。結構、カナコは楽にしていても大丈夫だよ。それでも運動になるから」
「どんな運動なの?」
「興味ある?」
「うん」
そう頷いた私を、今となっては殴り倒したくなる。
運動、運動といえば運動。
けれども、とても恥ずかしくて、もう二度としたくない。
「っていうか避妊しろ!」
「え?だって家族公認じゃん。怠惰なカナコも好きだよ」
そう言って、アキラは再び運動をしようとする。
運動なんて大嫌いだ!
(おしまい)