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魔物

グロ注意(?)

後で知ることになるのだが、ここはモノクロフォレストと呼ばれる地だった。

いや、正しくは‰⊗≮≤∅≪>って呼ぶのだけど。

白黒、森、って意味だと理解できるし混乱するからモノクロフォレストと脳内変換しておく。

うん、この世界の言語は基本、脳内変換していこう。


光の少ない夜でも白黒にだがはっきりと景色が見える不思議な森。


原因はこの地に多く生息するイロトリという鳥だった。イロトリは夜行性の鳥で魔法でモノクロにしたの森の中、自分だけ色鮮やかな色彩にし目立たせ求愛するという生態をもつ魔物。


それを知らない今の私は原理は分からないけど真っ暗闇じゃないことにほっとしていた。


まぁこの世界は魔法のあるファンタジー。何があろうと不思議じゃないけれど。


シャクシャクもぐもぐと生え揃ったばかりのような乳歯でリンゴモドキを咀嚼する。

池の近くにも生えていたのだ。原初の実が。

ラッキーなことに実が1つ大きな傷もなく落ちていたものを食べていた。

虹色と灰色、どっちの方が食べる気がするか、なんて考えたけど。

というかまず熟してるのか分からないんだけど。

空腹ならどんなものでも食べる、というのが正解だった。

おいしかった。

大好物か?と言われると首を傾げざる得ないけど普通に美味しい。

ちなみに味は普通にリンゴだった。


「ケプッ」

お腹が一杯になる。その結果。


おなかすいたおなかすいたで満たされていた脳内に余裕が出来てしまった。

同時にリンゴの糖分が停止しかけていた思考に拍車をかける。

見なかったふり、考えることを放棄していた事、絶望が再び襲いかかってくる。


そして。フッと電気が切れたように真っ暗になった。

イロトリが魔法を停止させたのだ。

それを知らない私は訳もわからず暗闇に放り出されたと感じるわけで。


人は何時間だったか何日だったか真っ暗闇にいると発狂すると言うけれど・・・


いろいろあって疲弊した私は一瞬で駄目だった。

プツン、とギリギリ保っていた何かが振り切れた。

蓋をしていたモノが溢れ出した。



「う・・・あぅあぁぁーーーーーーー!!!」


不安恐怖怒り憤り。


ここはどこなの嫌だ嫌だ嫌だなんでこんな目に合わなきゃならないんだただただ生きてただけなのにどうしていい加減にしてよ痛いよ誰なの私はなんなの誰もいないの何もないの何も出来ないの帰りたい家も無い私はもう違う人なの暗いよ怖いよ思いつきでこんなことしないでよ




幼い子供の泣き声が森に響き渡る。

それを聞きつけたモノが。

のそり、と動き出した。




何かの気配を感じて泣きはらした顔を上げる。

「・・・?」

どれぐらいたったのか分からないけれど視界が元に戻っている。

そのことにまずホッとして落ち着きを取り戻せた。

そこにいたのは。

尖った鼻と耳。手には無骨で粗末な斧。

酷く醜いを人の形をした生き物。

うわぁゲームとか本とかでいっぱい見たことはあったけど、リアルで見ることになるなんて思わなかったよ、ゴブリン。

ゲームでゴブリンといえばザコ敵代表。実際、目の前の奴は幼稚園児ぐらいのサイズ感だし大人ならばまぁボコせそうだ。

でも今の私は幼女。

しかも武器とか鎧の装備は無くシンプルなワンピースしか身に着けてません。

涎垂らして濁った瞳ギラギラさせて襲ってくる気満々だね。

「グゴァッ」

斧が振り上げられた。

せっかく取り戻した落ち着きが何処かへすっ飛ぶ。

「いっやぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

原初の実・・・いやもうリンゴ!の芯をぶん投げて逃げる!!

冷静に考えれば刺激しないで逃げるのが良かったかもしれなかったけれどコントロールの難しくなった感情にまかせてしまった。


私は走って走って走った。でも逃げられない。

歩幅に差はないしあっちの方が若干素早い。

あっちは靴を履いてるし。

どうしてゴブリンの方が文明的なのよ!!


開けた場所に出た、と思った瞬間。

ぐにょり、と何かを踏んで。

「え」

ずぷりと沈み込んで

「な」

前のめりに転ぶ。

「〜っ!!」

思いっきり顔面を打ち付けた。痛い。そして、

「っあぁぁぁあ」

足も、痛い、ひりつくような、やけどのような、痛い。

見れば、何かをぬめった半透明透明なものに足が包まれていた。


スライムだ。ゲームでスライムと言えば弱いの代名詞のようなイメージを受けるけれど現実はそんなことは無いと思い知る。作品によってはそれはもうかっこいいスライムとかレアなスライムもいるけどこいつは違う。

ただそこにいてあたりのものを食べて

溶かすだけのモノ。

それだけでも凶悪だ。


「っ!!!」

ただでさえ裸足で傷だらけで痛かった足が痛い。


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛


私はその場でのたうち回った。

痛みなんて無視しようと思えば無視できたのに。

体の痛みとは関係なく振り切れてしまった心が痛いと叫ぶ。


「ーーーぁ」


体が宙に浮く。

いや違う、落ちた。

すぐそこ、崖だったんだ。


転がり落ちて、砕けて、落ちる。


朝日が登る。色を取り戻してゆく視界の中、赤い花が咲き乱れた。

発狂表現って難しい。

パニック具合と不安定さを表現出来ているか不安です。

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