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いわゆる説明回?

ひと呼吸おいて私は目をうんと凝らす。

すると靄のような霧のようなものが見えてくる。

それはいろんなものに宿って取り巻いている。


それが魔素だと理解できるモノだ。


魔素は万能元素とでも0番目か無限番目の元素とでもいえばいいのだろうか、いろんな元素・・・いや前世で元素とされていたモノ以外にもに変質しやすい粒子、らしい。


質量保存の法則なんてガン無視で。


変質させるにはいくつか方法があるみたいだけど一番簡単なのが魔法陣を使うこと。


「だから、つまり」


私はこの体の知識と元の世界での理科の知識とラノベ等の設定を総動員してまとめていく。


魔素は魔法陣を通過すると魔法陣ごとの魔法になるらしい。

イメージとしては粘土(魔素)を星の形をした抜き型(魔法陣)に詰めて押し出す。

すると星の形(魔法)になるみたいな感じ・・・だ。そう理解はできるが。


というか、具体的なこの世界の魔法に対する知識はここまでだ。

ここから先が分からない。


「ふぬぬ」


魔法陣の展開法がわからないので出来ない。

魔法陣がどんなの物なのかは知っている。

でもそのへんに転がってた枝で魔法陣モドキ書いても何も起きない。

魔素動かせないこともないだけに悔しい。

私は自分の体内にある魔素を弄ぶ。

手のひらに滲んだ血が火のように揺らめいた。


いろいろ試したが今のところ自分の血を操ることしかできなさそうだ。しかもちょっと動かすぐらい。はっきり言って気持ち悪い。体内の流れにはそれほど干渉出来ない・・・というかしたら不整脈のようなやばいことになりそうだし出来たとしてもやっちゃまずい気がする。

しかもこれ痛いし貧血になりそう。

漫画とかである血の刃みたいなのも無理。

一度外に出したものを体内に戻すのも抵抗があるし、止血にしか使えなさそうだ。


転生とかによくあるステータスなんてものは見当たらないし他になにか力に現状思い当たる節はない。

握力も脚力も全て見た目通りの幼女パワーだ。

つまり弱い。


あともう一つ、魔法陣ではなく言葉、つまり詠唱で魔素を練り上げ発動させる方法もあるようだけど・・・

びしっ!と枝を魔法の杖のように振るった。

これは気分だ。別に無くても出来る。

大事なのは呪文。

この世界の知識にある呪文を試しに口にしてみる。


「えくすぷろおーじょん」


でも舌足らずのせいか上手く行かないんだよなぁ。


「あくあ」

「ふあいあ」


・・・というか聞き覚えのある単語だよなぁ。

イントネーションだいぶ違うけど。私の舌足らずのせいもあるけれど、この体の知識がこうなのだ。


「らんぺっじゃめんと」

「="';_&*%≫≦≥%」

「まなちぇんじ」

「ゲール」

「≮*;@%!」

「$&*≪‰≠∀∅-±っ!」


英語、イタリア語(?)、外国語、この世界の言語。

パッと思いつく、思い出す限り詠唱してみるが。


うん、やっぱり無理。

ポイと枝を投げる。


舌足らずとか発音とかイメージとかそういう問題じゃなさそうなんだけどなぁ。

というかなんで元の世界の言葉が・・・いや、これも今考えたって仕方がない。


他にも魔法を構築、発動する方法はあるみたいだけど今の私では無理そうだ。

あとこれ、かなり恥ずかしい。

その点だけはここに人がいなくて良かった。



あと気になることと言えば。


私は枝を拾い直した。

鋭く尖った堅い枝。ナイフのようには突き刺さらないだろうけど。

人を殺そうと思えば殺せそうな枝。


不死。


確かにそう言われた記憶がある。

どうなるかも分からないけれどただ漠然と私は不死だと確信している。

試そうと思えば試せる。


でも。ぎゅうっと枝を握りしめた。

手のひらが痛い。痛いものは痛い。


痛覚がなくなっていないのだ。


ただ、痛みを我慢出来るようになった気がする。

痛覚の刺激が行動や思考を阻害しにくくなった。そういった方が正しいか。


血の滲む足を見下ろした。


これだけの傷だらけなら立てなくなっていたっておかしくないのだ。

実際、レ○ブロッ○を踏んだとき暫く悶えたことがある。

あのとき血は滲んでいない。

サイコロのような跡が残っただけだった。それなのにしゃがみ込んで呻いた。

そんな私が今、無数の傷がある素足で地面に立っている。

だから、きっと、今の私にとって痛みなんて無視しようと思えば無視出来る事

だから、きっと、この枝で自分を刺したって


「っ」


嫌だ。嫌だ。無理、無理無理、無理だって。

どうしようもなく手が震えて、枝が落ちる。

突き立てられたナイフの痛みが蘇る。

たとえ痛みがなくたって、嫌だ。

薄まっていたとしてもあれはもう、味わいたくない。

痛みを無視して体を動かせるとしても精神が拒否する。


試すのは本当にどうしようもなくなった時だ。

色を失った景色の中、私はぎゅっと自分の体を抱きしめた。

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