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白紅種

あらすじの内容の回収は完了。多分。

すっかりこの世界とこの体に慣れてきた頃。


「レイ。僕の話をよく聞いて」

いつもより急いだ様子で家事を終わらせた父さんが言った。


「父さん?なあに?」

私ははっきりとした口調で尋ねる。

この数日の間に舌足らずは解消されかけていた。

たまに噛んだり呂律が回らなくなったりするけれどそこはもう諦めよう。



「・・・今日は一緒に町に行こう思うんだ」

「町?」

父さんに助けられてから外行ったこと無いのよね。

というか、父さん以外の人間を見ていない。

この家に誰かが訪ねてくることもなかった。

父さんが出かけたこともなかった。


「そう、町。アリンツェ村から馬車に乗って行くんだ」

アリンツェ村は森の入り口にポツンと1軒建つこの家から一番近い村だ。

たしか父さんの足で歩いて20分と言っていた気がする。


「アリンツェ村は小さくて店もないからね」

私は元の世界の祖父母の家を思い出す。

田舎でスーパーどころかコンビニまで車で数十分かかる所だった。


「買い出しに行かなくちゃならないんだ」

「人いっぱい?お店いっぱい?」

「・・・うん。町だからね」

町。町かぁ。

いろいろ知ることができそうだ。

私はそう異世界人らしく考えると同時に。


「わぁい外だ!!外!!」

子供らしくはしゃいでいた。

父さんはそんな私を見て驚いたような表情を浮かべた。

なんで?


「・・・レイは怖くないのかい?」

「怖い?」


だって外と言っても森じゃない。

町だよ?大体、安全。

テンプレのモンスター襲来とかは考えない。


「人が、怖くないのかい?」

「別に・・・怖くないよ?」

人そのものは別に怖くない。

怖い人はいるけれど。

マスターとか、外見が。


「レイは・・・人が好きなのかい?」

好きというかなんというか。

人の話を聞くことは楽しいし面白い。

読書も良いけれどおしゃべりも好きだった

私は人と関わることが好きだけれど。


首を傾げる。

なんでそんな事を聞くのだろう。


父さんは躊躇ったあと口を開いてこう言った。


「〈白紅種(ルスアルブ)〉って知っているかい?」

「知らない・・・けど」

言葉に込められた意味は分かる。

そして。

白と紅が特徴的なモノを私は知っている。


「私の、こと?」

「そう。レイや、レイラのような姿の子。」

元の世界で言う・・・アルビノの事だろう。


実は結構、この姿を気に入っているのよね。

かわいいから。断じてナルシストではない。

元の世界で好きだった小説の登場人物に銀髪赤目の子がいてお気に入りだったのだ。

女神らしいあの少女にも似ている気がする。

あっ、だめだ、そう思うとムッとする。

とにかくかわいい。そう、可愛いのだ。


「じゃあ〈神皇の色を盗みし者〉とか〈白影魔〉って迷信は?」

知らない。首を振る。

ただ盗むとか影に魔という文言に嫌な予感がした。


「・・・じゃあ、教えるね。レイは知っておいた方がいいから。自分を守るためにも。」

「守る?」

「少し難しいお話だけど聞けるかい?」

「うん」

中身高校生だ。問題ない。




「レイは大丈夫みたいだけど〈白紅種〉ってね、日光に弱かったりするんだよ。」


そういえば、アルビノは紫外線に弱かったりすると聞いたことがある。

たしか紫外線から守るためのものが少ないからとかそういう話だったはずだ。


「だから、日光を恐れる子がいるんだ。レイラがそうだった。」

まぁ痛いの嫌だし怖がるだろうね。

小さい子ならなおさら。


「それで・・・悪魔だと、魔物だと信じる奴らがいるんだ。影に潜む白い悪魔だってね」

父さんは馬鹿らしい、と吐き捨てた。


差別、か。

本当にどこの世界も変わらないんだね。

自分たちと違う異質な者を排斥するのは。


「他にも皇族でね。赤い目と白銀の髪を髪の印としている国があって。」

たしか、太陽と月の神を祖とする2つ皇国。

双子の国。

太陽の国が赤い目に金髪、月の国が青い目に銀髪、だったかな。


そういえばあの女神(?)もそんな色合いだったような。

金銀の髪に青と赤のオッドアイ。


「平民で親と似ない者は、神皇の色を盗んだとされるんだ」

迷信だなぁ。


というかこの姿は女神から与えられたと言える訳で盗んだ訳じゃないんだけど。

他の子どもたちだってそうだ。

自分の姿は選べないんだから。

言いがかりにも程がある。



あぁ、なるほど。

だから私は捨てられたのか。

まぁここまで、歩けて喋れるまで育ててから捨てたから良心はあったのかな?

捨てた時点でアウトだけど。


記憶消されましたし。

父さんいわく、この世界には忘却魔法を捨てる子供にかけることがあるらしい。

法律違反だけど。

忘却魔法使えるレベルの人が犯罪するなと父さんはため息をついていた。


法律を犯しても捨てたい子供かぁ。



「・・・だからね、レイ。」

父さんは私にフードを被せた。

そういえば私の服(レイラちゃんの服)、全部フードがついていた。

目元まで隠れる大きなフードが。

あと、袖も長めだ。

肌も髪も目も露出させない服装。


「その髪と目を人に見せてはダメだよ」

父さんの声は震えていた。

次回から、ついに村や町へ!!

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