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第一話 王国からドナドナされちゃいました

誤字脱字、不適切な表現などありましたら、コメントで指摘のほど、よろしくお願い致します。

光が収まり、目を開けるとそこには、真っ白な壁やら天井やらで囲まれただだっ広い空間があった。正面には壇上のような場所があり、鎧を着た人やら大臣のような人が立っていた。


周りを見渡すと、どうやらクラスだけでなく、大和の学年の学生たち全員総勢120人ほどがここにいるようで、まだ状況が把握できずざわついている。


「なんだここは・・・なぁ大和どう思う?」


後ろからこっそりと近づいてきた大河に膝カックンされながら質問される。まんまと引っ掛かってしまった大和はもちろんイラついたので。


「俺にもわかるか・・・よっ!」


「うおっ!―――あれ?何ともないぞ?」


「!?」


カックンされた勢いでしゃがみ右足を伸ばして勢いよく一回転する。と、もちろん後ろには大河がいるので足を取られた大河はすっ転ぶーーーーーーー



ーーーーーーーことは無かった。確実に大河の足に俺の蹴りがクリーンヒットしてる。それにもかかわらず、大河の足はビクともしない。まるで、大樹を蹴ったかのようだった。


あまりの事態に大和が動揺していると。


「よくぞ来てくれた!!我が国の危機を救ってくれる英雄たちよ!!今からこのノーレーン連合王国第三国の王女様が直々にお言葉をくださる!無礼のないように!!」


いきなり壇上から怒鳴り声に近い声が聞こえたので、俺も思考を一旦中断する。どうやら怒鳴ったのは大臣?のような男だった。それにしても、王女の姿なんて見当たらない。


そう思ってあたりを見渡す。すると壇上が突然発光し、光が収まる頃には一つの人影がそこにはあった。


「妾がノーレーン連合王国第三国第一皇女であり、お主らをこの世界に召還したエリザベスじゃ。お主らを召還したのは他でもない、魔王を討伐し、この世界の危機を救ってもらうためじゃ」


その言葉にクラスの奴らが反応しざわざわしだす。大和はそんな面白くないテンプレなんかしたくないので取り敢えず体育座りして大人しく聞いていよう。


「ちょっと待てよ!急にそんなこと言われて納得出来るわけねぇだろ!!」


「そーだそーだ!」


はいはい、テンプレテンプレ。


「貴様ら!王女様になんて口の利き方を!!」


「良いのじゃ、お主らが納得出来ぬ気持ちも分かる、だが、それでもやってもらわねばならぬのだ」


「皆さん、ここは騒がず落ち着いて、とりあえず話を聞きましょう。」


クラスの担任が男子達を宥める。ここで騒ぐより、話を聞いて判断すべきと考えたのだろう。


「なにも無策で魔王に挑んでもらおうとは思っておらん。転移者のお主らには人並みより抜けたステータスと能力が授けられる。それを駆使し魔王を討伐し、見事この国がノーレーンを統一した暁には富、名声、どんな願いも叶えてやろう」


クラスの奴等からゴクリ、と唾をのむ音がやけに大きく聞こえた。


「さあ、こうしている時間ももったいない、まず『ステータス』と唱えて見てくれ、慣れるまでは唱えなければいけないが、慣れたら頭の中で唱えるだけで出来るようになるはずだ。因みに、一般的な人間の初期値はすべて50程度じゃ」


「「「「『ステータス』」」」」


全員で唱える。大和も王女の言いなりになるのは癪だと感じたが、これをしないと話が進まないと諦め、一緒に唱える。



―――――――――――――――


名前 霧咲 大和

種族 人間

適正職業 無し

lv1


体力 20

筋力 20

俊敏 20

魔力 20

物防 20

魔防 20

精神 20


スキル

『鑑定lv1』『奪取lv1』


―――――――――――――


「(・・・ん?さっき王女さ、一般的なステータスはオール50くらいって言ってたよね?おかしいな?俺オール20なんですけども・・・自分訴訟いいですか?・・・っていうか適正職業なしってなんだよ・・・)」


「おお!!大河殿は勇者か!これは素晴らしい!100年に一度の逸材ではないか!」


大河が勇者という驚きの事実が言い放たれ、大和も気になり『鑑定』で覗けないか試してみることにした。


――――――――――――――


名前 太刀嶺 大河

種族 人間

適正職業 勇者

lv1


体力 200

筋力 200

俊敏 200

魔力 200

物防 200

魔防 200

精神 200


スキル

『鑑定lv1』『聖剣適正』『物魔威力半減』『身体強化lv1』


―――――――――――――


「(え・・・マジで?・・・まてよ、でもこれが本当なら俺が大河の足をけったとき、ビクともしなかったのも納得がいく・・・)」


それでも、自分だけこんなに弱いのは納得出来ず、王女に聞いてみることにした。そうしたらどうなるかは大和には容易に想像できたが、やはり、このような理不尽には大和の雨の日の水たまりほどの心の広さをもってしても、異議を申し立てずにはいられなかった。


「すんませーん、俺のこのステータスひどいんですけど、特にすごいスキルも持ってないっすし」


「なっ!貴様!王女様になんて口の利き方を!!」


「まぁ待て・・・ほほう、これは百万年に一人の人材じゃな」


「え・・・どこら辺が?・・・まさか隠された最強要素が・・・?」


「こんな弱いやつ見たことがない」


「うん、そっすよねー」


「よし、この者を王城から追い出せ。こんな役立たずには飯も訓練も勿体ない」


「「「はっ!!」」」


結果はおおよそ大和が考えていたものと相違なかった。ああ、クラスの男子がニヤニヤしてやがる・・・この野郎ども・・・!!と、どんどん大和のイラつきも高まっていく。


今にも騎士に両脇から抱えられ連れ出されるというところを・・・


「待ってください!それは流石にあんまりです!霧咲君だって訓練すれば必ず強くなります!」


「そうです!」


乃蒼と玲が止めにはいるが、それを見ていた周りの男子の顔が醜く歪む。王女も一瞬顔をしかめたが、兵たちに頷くと、朔良を無視し再び兵たちが歩き出す。


「ちょっ!ちょっと!!霧咲君もなんで大人しくしているの!?」


「おい、大和!」


大河が俺呼び、大和がそちらに目を向けると、大河と目が合う。


「抵抗しないってことは、そういうことなんだろ?」


そういってニヤッと口角を上げた。気持ち悪いニヤけ顔だなぁと思う。とりあえず、返事しておこう。


「あぁ、朔良も玲も心配するな」


因みに大和は大河が何をいいたかったのか全くわからなかったし、考えてすらいなかった。


「え、えぇ・・・でも・・・」


「いいんだ朔良・・・お前らは気づいてないかもだが、そこの私利私欲だけで生きてる王女みたいなやつの下につく気なんてこれっぽっちもない」


「なっ!貴様!王女様になんてことを!!」


大和の言い分に堪らず大臣が怒鳴る。乃蒼も大和の言ったことに食い付いてくる。


「どういうこと?霧咲君」


「そのまんまさ、最初にこの国は第三国だと言っていた。そのあとに魔王を倒してノーレーンを統一するとも言っていた。つまり魔王を倒して危機を脱するなんてのは口実で、魔王を倒したという功績と武力で高い地位を目指しているだけなんだ、そいつは」


「貴様ぁぁ!!!その首!今ここで叩き切ってくれる!!」


「よせ!良いのじゃ、どうせ其奴の命も王国を出るまでじゃ・・・そうじゃ、ここらで一番レベルの高いダンジョンの『大穴のダンジョン』にでも放り込んでおけ」


「「はっ!!」」


こうして大和は王国からドナドナさせられた。王女にかませてせいせいしたぜ、あんのクソ野郎ども・・・いつか復讐してやる・・・と、大和は内なる火をひそかに燃やした。



この先降りかかる災厄をまだ大和は知る由もない――――――

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