クラス委員
花見に行くと言ったな、あれは嘘だ!
白鳥 真冬は悪役令嬢に憧れている。
故に、その立場も大事にしていたのだ。
ならばもちろん目指すべきは学級委員であったし、今でもその屈辱は忘れていなかった。
落合 秋姫は一月以上経過した今もなお、真冬の敵対意識を何となく察しており、苦手意識を持っていた。
そもそも真冬自体、隠している気もないしその自覚がない。
あからさまな態度が改まらないのも致し方ない事である。
「あら、わたくしに何か御用ですの?学級委員様?」
これである。
「白鳥さん、文化委員だったよね、来週文化委員の集まりがあるらしいから、その報告」
秋姫からプリントを受け取った真冬はその内容を確認する。
各委員会の来週の活動予定が記してあった。
それによると真冬が所属する文化委員では、体育祭での関連業務の第一回の打ち合わせだそうだ。
実際には体育委員を中心とした実行委員が行う訳だが、文化委員にも仕事がある。
具体的には応援団の組織が中心で、ブラスバンド部との連携も文化委員が執り行う。
ちなみに桜子が所属している図書委員は、ローテーションの確認と書かれていた。
学級委員には「雑務」とだけ書かれている。
このプリントを各委員へ配る事がそうだとすれば、もしかしたら学級委員にならなかったのは返って良かったかもしれない。
そう思い「ありがとう」と満面の笑みで応えた。
「う、うん、どういたしまして」
秋姫がどもったのは気にもとめず、真冬は来週の習い事の時間をずらさなければ、等と考えていた。
すぐ後ろの席には桜子が座っていて、彼女には秋姫が顔を赤らめているのが見て取れた。
「うふふ、ありがとおー」
手を出して待っていた桜子に妙な雰囲気を感じ素に戻った秋姫は「あ、うん」とプリントを渡し、そそくさとその場を去った。