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インフライト1

 シーザーのスピーチは衝撃的なものだった。

 一大イベントとあって、会場の周囲には多くのメディアが集まりカメラなどを向けていたが、その記者達も全く予想していなかったようで目を白黒させている。

「……何バカやってんだ、あの王子」

 そんな記者の群れの背後に。

 くだらないテレビ番組でも見たかのように感想を吐き捨てる、1人の男がいた。

 口元が無精ひげで覆われ、黒い革ジャンを羽織っているその姿は、夜の街をバイクで駆け回っているアウトローのような印象を与え、この場には異質な存在と言える。

 そして、革ジャンのポケットに両手を入れたまま、口の中でくちゃくちゃと何かを何度も噛みしめている。

「あいつ、撃ったらどんな反応をするか、見てみたいもんだな。率いられる他の連中もまたしかり、ってとこか」

 男は、お立ち台から去っていく王子の後ろ姿を見て小馬鹿にするようにつぶやくと、革ジャンを翻して背を向け、会場から離れていく。

 何かを噛み続けながら向かう先は、停泊しているサングリーズの船体。

 そのすぐ目の前で足を止めると、ぷっ、と口の中で噛んでいたものを吐き出す。

 緑色の潰れたガムは、音も立てずに海面へ落ちた。

 男はそれを気にも留めず、サングリーズの船体を見上げると。

「ま、その方がシゴき甲斐がある……」

 どこか不気味な笑みを浮かべながら、そうつぶやいた。

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