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崩壊するようです

「……ここは」


 ゴロリは周りを見渡した

 ケルル、アケミ、猫騎士、アニーは無事であった


 ゴロリの視界には海が見えた。海の先には島が見える

 ここは離島だろうかと思って、ゴロリは混乱した


「アニー。これはどういうことだ」


 猫騎士はアニーに問い質した

 この場所はフールが封じていたはずだったため

 無理もないとゴロリは思った


「僕を追い掛けたフールが、骸骨に連れ去られた」


「なにもないぞ?」


 ケルルの指摘にゴロリは違和感を感じた

 何も、なさすぎた。よく見ればフールの魔方陣も消えていた


「そんな筈はないんだ。奴の目的は――っ!」


「うわわっ」


 アニーが言い終わるとずん、と地鳴りがした

 よろけるアケミをすんでの所でゴロリが支えた

 甲高い断末魔も聞こえる


「……階段だね」


 アニーがいうように島の中心が変形し

 螺旋階段状に形成された


「今の声は気になるな。移動魔法は使えないか?」


「ダメ。僕の魔法は行ったところじゃなきゃ行けない」


 そもそも魔力ももたないしねとアニーは続けた

 ゴロリはなるほどと思って、歩いて島の中心を覗いた


 結構な大穴が空いていた

 底には赤いものが見えたが何かまではわからなかった


「……行こう。嫌な予感がする」


 近付いてきたアニーにゴロリは頷いて、先を急いだ




 アニー、ゴロリ、アケミ、ケルル、猫騎士と続き

 階段を降りていった


「……あれはまさか」


 降りていくにつれてアニーの脚は明らかに速くなっていた

 赤いものの正体がわかってきていた


「オカン!」


 ケルルが叫んだ。竜の反応はない


「……くっ!」


 アニーは階段を駆け下りた

 ゴロリも、赤いものの正体は竜であると認識し

 アニーの後を追った


「うっ!」


 アニーが片手を竜にかざすと緑色の閃光が地下深くを覆った

 無詠唱で放った魔法であった。たまらず、ゴロリは目を背けた


「ローズ!」


 アニーは叫んだ


「……うるさいねぇ。金髪」


 丸まっていた竜は血を吐きながら動き出した

 そこは丁度、大きな踊り場になっていた

 倒れた竜の側でまだ地下にいく階段が続いている


「オカン!」


「……ケルル。ああ、なんということだ

 ここから離れなさい。今すぐに」


 ケルルが駆け寄って竜を仰ぎ見ると

 竜はケルルの方に顔をやって答えた


「どういうことだ?」


「骨っこが地下の膨大な魔力を吸い取っている」


 ゴロリの質問に、竜は下を見た


「……では、逃げ道はないな」


「とはいえ、ここは危険だよ」


 冷静に指摘した猫騎士に竜は付け足した


「止められないのでしょうか?」


「……それは今、フールと小娘がやっているが

 どこまで持つかわからない」


 アケミの問いに竜は答えた

 小娘、というのは泥棒の少女のことだろうか

 とゴロリは思った


「そもそも、どう危険なんだ?」


「まずこの空間は真っ先に崩壊するね」


 竜が猫騎士の発言を否定していないということは

 とゴロリは思って、最悪の考えに行き着いた


「世界が崩壊する……?」


「最悪はそうなる」


 竜の言葉にはそうはならないという自信が見えた

 アニーは歯ぎしりをしていた


「いいかい、ローズ

 君が死んでどうこうなる問題じゃないよ

 分かってはいるんでしょ?」


「……アタシの魔力をあの核に移すにはそうするしかない」


「時間稼ぎじゃないか」


 アニーと竜はなにやらもめていた


「オカン、死んじゃうの?」


「……じゃなきゃ皆死ぬよ」


 ケルルの切実な疑問に、竜は言葉少なくいった

 よくわからんが、大変らしいというのはゴロリにもわかった


「……国が動くかもしれない

 アニー、わたしと共に街へ戻れるだろうか」


「残念だけど今はそんな魔力はないかな」


「……俺が協力しよう」


 猫騎士にアニーは首を横に振った

 ゴロリも、それならばと口を挟む


「帰りはどうするの?」


 アニーの指摘にそうかとゴロリは思った


「……心配無用だ

 ゴロリには劣るが、わたしにも似たようなことはできる」


 猫騎士の暴露になるほどとゴロリは思った

 王からゴロリを護ってくれた意味がわかった気がした


「……行け、金髪。騎士と共に!」


 ともかく、急ぐべきだとゴロリは思って

 アニーに叫んだ


「……なんかまとまったけど、大丈夫?」


「もちろん

 こんな状況だからこそ、出来るだけやっておくべきだ」


 アニーは猫騎士に確認してから跪き地を叩いた

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