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捕まったようです

「こんなところに集落があるとは……」


 猫騎士は目の前の光景に驚くように声をあげた


 ゴロリ達の目の前にはテントが幾つかはってあった


 テントは袋小路のように配置されており

 その中心には薪が組んであった


 先程まで火をおこしていたようで

 そこから煙が上がっていた


「人気がないな」


「……ええ」


 ゴロリはそういってアケミから降りた

 ゴロリが降りている間に

 猫騎士はどんどん先に進んだ


「止まれ!」


 丁度、猫騎士がいくつも張ってあるテントの

 中心に差し掛かった所だった


 猫騎士とケルルは

 農道具をもってずらりと並んだフードの集団に囲まれていた


 無言で両手を挙げる猫騎士にならって

 ケルルも両手を挙げていた


「貴様らもだ」


 ゴロリの背後にも鍬を持ったフードの女性がいた

 恐る恐る振り向くアケミに

 ゴロリは任せろと言わんばかりに頷いた


「まず、勝手に領域に入ったことは謝ろう」


「うるさい!」


 ゴロリの謝罪に、背後の女性が叫んだ

 ゴロリには打開する手が幾つか浮かんでいた

 その中でも比較的平和に解決すると思った手段を実行した


「ローズ……?」


「前にいる赤髪の少女。あの少女はローズの娘だ

 彼女だけでも解放してくれ」


 一瞬、背後の女性が動揺を見せたので

 ゴロリは畳み掛けた


「……行け。そのまま進むんだ」


 ゴロリはフードの女性に得物で押されたので

 アケミと共に両手を挙げて進んだ




(結構な状況じゃないか)


 ゴロリは両手を手枷で拘束されていた

 手枷から伸びる鎖は、魔法でできた鎖のようで

 カードの裏の文字が刻まれた地面から生えていた


 巨大な鉄檻の中に放り込まれ

 ようやくゴロリは状況を把握した


「……何とかせんとな。ぐぅっ!」


 ゴロリは伸びる鎖を利用し

 鉄檻の出入口まで行こうとするも鎖は自動的に縮まった

 縮まった勢いで、ゴロリは背中から倒れた


「……くそ。判断を間違えたか」


 ゴロリは吐き捨てるように地面を叩いた

 こんなことなら、危険も承知で威圧すればよかっただろうか

 ゴロリはそう思い始めていた


 アケミ、ケルル、猫騎士のことを考えると

 居ても立ってもいられなかった


「調子はどうだ、ゴロリ」


 声に聞き覚えがあった。自分を拘束した女性だろうと少し思う

 ゴロリは蒸せ返るような怒りを覚えた


「……嘗めているのか?」


 ゴロリはゆっくりと立ち上がると

 鬼の形相で目の前の女性を睨み付けた


 自分の名は明かしていない

 この事実がゴロリを灼熱の中に放りこんでいた


「ち、ち、違うよっ。ぼぼボクはゴロリを助けに来たんだ」


「……おまえは」


 目の前の女性が吃りながらさっとフード外した

 ゴロリはその顔に見覚えがあった


 青い瞳。金髪のショートカット

 全体的に堀の深い顔立ち。ああとゴロリは思い出した

 いつかの泥棒の少女だった


「……と、とりゃー!」


 泥棒の少女は片手に短剣の構えると

 一息でゴロリの鉄檻を破壊した

 そういや、最高ランクだったか。ゴロリは少し思った


「……俺よりもアケミやケルル、騎士を頼む」


「アケミさんやケルルさんは分かったから、助けたよ」


 泥棒の少女そういって、ゴロリの鉄檻に入ると

 片方の手枷を針金のようなもので開けようと奮闘していた


「一緒じゃないのか?」


「さ、さぁ……鍵は壊したから脱出したんじゃないかなぁ

 いいよ。動いて」


 ゴロリの言葉に泥棒の少女は

 手早くのもう片方の枷を弄ると

 あっという間に攻略してしまった


「……アケミとケルルを探そう。手伝ってくれ」


 ゴロリは確かめるように手首を擦るといった


「そ、そっか。なんかごめん」


「謝る必要はない。助かった」


 ゴロリは泥棒の少女の評価を改めた

 ゴロリには泥棒の少女に感謝しか沸かなかった


「そそんなに遠くにはいってないよ、きっと」


 そんな畏まらんでも。ゴロリは少し思った


「案内してくれるか?」


「やってみる」


 ゴロリの問いに頷いて

 泥棒の少女はフードを被り直した

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