再会したようです
受付の男の背に乗ったゴロリ達は西側の橋をどんどん攻略していた
「そのまま突っ走れ!」
「おおーっ!」
冒険者達はゴロリの声に答え、一丸となって無双していた
「ノロマ共めっ、もっと早く走れぇっ!」
ゴロリは西側の魔物は殆どの魔物が残っており
焦りだしていた
「うおぉっ!」
ゴロリが叫ぶと、冒険者達は更に士気を上げた
「……ゴロリ、見よ!」
「ぐぅ。止まれぇっ!」
受付の男の男が指差した先をゴロリは見た
西側の前線には、チューリップハットを被った赤い竜が加勢していた
冒険者達が危うく切りかかりそうだったので、ゴロリは叫んだ
「ああ、なんだか急にやる気が……」
「はわわわ……」
足になにやらよくわからない肉塊を踏みつける巨大竜に
冒険者達は困惑し、散っていった
(テンションを維持すればいいって訳でもないんだな
寧ろ、彼等の守りたいという意思を利用しているだけなのかも)
ゴロリは冒険者達を操っているようで、内心では強く謝罪していた
「あらぁ? フールじゃない
ゴロリなんか背負ってどうしたの?」
「ローズ。来ることができたのか!」
珍しく驚愕した声をあげる受付の男に竜はくつくつと笑った
この橋の耐久力は半端じゃない。ゴロリは少し思った
「アタシも少し前に来たところだよ。金髪に感謝しなくちゃね」
「ブレイズの奴、そのような無茶を……」
竜が長い首を利用してゴロリ達に話すと
受付の男は考え込んだ
「うおーいっ、おっちゃん。じーさんっ!」
「け、ケルル……!」
ゴロリは駆け寄るケルルを見つけると
思わず、汗が出そうになって堪らなかった
「よくぞ無事であった」
「ああ。オカンのおかげでなんとかなった」
受付の男はケルルの無事を確認すると
どこか安心したような声を出した
赤い髪を後ろで束ねて止め、目は薄くピンクがかっている
タンクトップ、ホットパンツの着用は相変わらずのようであった
「おっちゃん、ただいま」
少女は受付の男に背負われたゴロリを見て
いつも通り笑っていた
「案外しぶといじゃないか」
「そっか。そのモードだよな
まっ、あんな魔物共なんかに負けてらんないからさぁ!」
ケルルには、支えられていることの方が多かったな
ゴロリは言いながらそう思って、やっぱり汗が出そうになった
「ケルル。行んだね?」
「うん。行ってくる。まだ仲間がいるんだ」
やっぱりケルルにだけは甘いんだな
ケルルに目を細める竜を見て、ゴロリは少し思った
「……どこかに行くっていってもこの近くだろう
アタシの背に乗っていくかい?」
「なにをいう。それでは地上の穀潰し共を利用できぬではないか
来るならば、貴様が来い!」
彼女の背には腕とは別に大きな赤い翼があった
背に乗って、反対側に回ろうというのが竜の提案だったが
ゴロリは、地上で冒険者達も巻き込んで進むつもりだったので断った
「ふーん。なら、そうしようかね」
「ローズ。君も来るのかね!?」
受付の男の驚きようから見るに、竜は単独行動が多かったらしい
勇者一行は基本的に自由なんだな。ゴロリは受付の男に少し同情した
「じゃ、アタシは空から援護するよ」
「空からって……マジかよオカン!」
竜はゴロリ達の所までケルルがいったのを確認すると
大きな翼を広げると上下に動かした
「お、おおいっ! 貴様らの死に場所はここじゃない
ここじゃないぞぉっ!」
ゴロリはさすがにまずいと思って、散っている冒険者達に叫んだ
「う、うおおーっ!」
ゴロリの号令に冒険者達は橋の地面に伏せて風圧を耐えていた
「……大袈裟だよ、全く。これだから人間は」
地に伏せる冒険者達に竜は少し愚痴りながら飛び立った
言いながらも、結局は翼を使わずに浮き上がったようで
やっぱりケルルの母親だな、とゴロリは再確認した
「……こうなるとアケミちゃんより、北の方が心配だ」
「何故だ!?」
やっぱりこの男も勇者一行の一人だ
ゴロリは受付の男に叫びながら、思った
「冷静に考えよ、ゴロリ。東にはブレイズがおる
腐ってもあやつは強い。戦いに限っては二度も生き残っておる」
二度なのか。ゴロリは少し思った
「いいかね、ゴロリ?」
受付の男の言葉も、ゴロリは頭ではわかっていた
全員生きて帰る。これを達成するには北も見過ごす訳にはいかなかった
「……ぐぅ。おい、そこのトカゲぇっ!」
ゴロリは頭上を自由に浮遊する赤い竜を呼びつけた
ゴロリの中では竜を連れてきてから、東側に戻ったアニーは
全力は出せないと思っていた
「トカゲって……アタシのことかい?」
「りゅ、竜よ。東側の援護しろ、我々もすぐに向かうっ!」
竜があまりよくない雰囲気だったので
ゴロリはまずいと思って、言い直した
「このアタシを愚弄した上
使いっぱしりとはいい度胸してるねぇ
……まぁ、面白そうだから行ってあげるけど」
結局行くには行くのか。ゴロリは少し安心した
「貴様ら、いつまで寝ているんだ! 立ち上がれぇっ!
立ち上がって戦えぇっ!」
「ひっ……お、おお。なんだか動けるぞ!?」
「だろ? 不思議だよな」
冒険者達は南軍と西軍で連合軍のようにして
ゴロリ達の後ろを進んだ
「魔物はまだまだ出現する。油断をするな!」
「うおおっ!」
(この状況で先頭を走るのが
じじいに背負われたおっさんってシュールだよな)
ゴロリ達は冒険者達を従えて、中心の島へと向かった




