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圧倒的なようです

「俺たちは不死身だぁっ!」


「うおぉっ!」


 巨大蛸の後も魔物は発生したが

 冒険者達の奮闘により、前線をかなり押し上げていた


「まだだ。まだぬるいぞ貴様らぁっ!」


 受付の男に背負われたゴロリは

 冒険者達を追い掛けるようにして指導していた


「うわーっ!」


「ぐわーっ!」


 丁度、島に上陸した時だった

 冒険者達が四方に散って、倒れていった

 海に落ちた者も少なくなく、ゴロリは冷や汗をかいた


「こんの、腰抜け共。なにをしている!?」


「こ、腰抜けっ。腰抜けだとぉっ!」


「うおおっ!」


 ゴロリの怒号で散っていった冒険者達は

 あるものは、何事もなかったように立ち上がり

 あるものは、海から這い上がって戦線に復帰した


「うほおっ!?」


「ぬわーっ!」


 しかし、またも吹き飛ばされていた


「……ゴロリ、一度降ろすぞ」


 ゴロリは受付の男には従うつもりではいたが

 テンションを維持しなければならないので

 無言で背から降りた


「おそらく、あれがヌシだ」


 受付の男は、前を指差した

 冒険者達は倒れている者の方が多い

 容易にその姿を確認できた


 骸骨。ゴロリが最初に思ったのはそれだった

 黒い骸骨で、片手にショベルを握っている


 体の右半身全てに

 カードの裏に描かれているものと同様の模様が

 白く刻まれていた


「あんな死に損ない、やってしまえ!」


「……ああ。やってみよう」


 ゴロリから目を離すと、受付の男は片手を翳した

 挨拶変わりに骸骨へ火球を飛ばした


 骸骨はショベルを一振りして、火球を消滅させた


「ほう、ではこれはどうかねっ」


 受付の男はもう片方の手の指を丸め、親指で抑えた

 でこぴんだ。ゴロリは受付の男を見て思った


「……なにっ!」


 骸骨は首を捻って火球を避けた


 受付の男もこれには驚きを隠せないようであった

 男から放たれた白く小さい火球が、宛もなく飛んでいった


 骸骨はそのまま受付の男に近付いた

 横柄な態度で歩くので、ゴロリは久し振りに腹が立った


「貴様ぁ、なんだその歩き方はぁっ!?

 シャキっとせんかい、シャキっと!」


 ゴロリが吠えると骸骨は立ち止まり、一歩後退りした


「隙あり」


 受付の男は、飛ばしていた小さく白い炎を片手で操作し

 骸骨の背中に炸裂させた


「……」


 骸骨は、頭蓋骨とショベルを残して影のように消えた


「うおおっフールさん流石っす! 一生ついていきます」


「俺たちも負けてられないぜぇっ!」


 骸骨が消滅すると、冒険者達は歓声を上げた

 ゴロリがテンションを維持したのが幸いだったのか

 殆どの者が血を流してすらいなかった


「皆の衆。ここからわたしは西に進む!

 付いてこれるのであれば来るが良い!」


「うおおーっ!」


 結構ノリノリじゃないか

 腕を掲げる受付の男にゴロリは少し思った


(中心の島はここか。この島さえ確保できれば

 やっと助けに行くことが出来る

 待っていろ……ケルル。アケミ)


「寝るな。あのじじいに続けぇっ!」


「うっ、なんか色々元気になったよ!」


「みなぎって参りました!」


 ゴロリが地面に伏せていた冒険者達を起こしていると

 受付の男はゴロリを置いて西側の橋を渡ってしまっていた


「待たんかい、じじーいっ!

 背負わんかい、じじーいっ!」


 ゴロリがわりと本気で叫ぶと

 受付の男は思い出したように道を引き返した


「……すまなんだ。つい」


「いいや。なによりだ!

 それほど我が軍は圧倒的だということだろう!?」


 急遽戻ってきた受付の男に、少し申し訳ない気分になりながらも

 ゴロリは受付の男の背に乗った


「……ゴロリよ

 そんなにずっと声を張っていては体に悪かろうに。大丈夫かね?」


「大丈夫ではないわっ、だからさっさと終わらせろ!」


 受付の男が気にかけた通り、ゴロリはいつ血管が切れるかとは思っていた

 しかし、今は考えても仕方ないのでやるだけやってしまおうと

 半ば、やけになっていた

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