鬼のようです
ゴロリは互いの健闘を祈り
受付の男に詳しく任務内容を聞くため輪になった
カードの色は、それぞれの拠点を表していて
赤は東、水色は西、緑は南、黄色は北を指すのだという
各拠点は所謂ドーナッツ型となっており
その中心部に、勇者の眠る離島が存在するらしい
勇者の眠る離島から発生する強力な魔物達と戦う為に
特別に離島と各拠点を繋ぐ橋が掛かるそうだ
「……聞けば聞くほどふざけた任務だ」
「その点は同感だ」
粗方聞き終わったゴロリは、少しため息をついた
男は同意して、頷いた
「それで、あたしはどうすりゃいいんだ……?」
「ケルルさんは水色の人達と一緒に並びましょうか」
「そっか、わかった」
アケミはケルルのカードの色である水色の軍を見た
ケルルも、何とかわかったようでアケミに笑いかけていた
ギルドの連中は相変わらず、押すな騒ぐなと落ち着かない
ゴロリは少し猫騎士に同情した
「じゃあ、ゴロリさん。また……」
「行ってくるよ。おっちゃん」
「ああ」
ゴロリは敢えて短く挨拶した
アケミは後ろ髪を引かれるように振り向きながら、立ち去った
一方ケルルは挨拶すると、ゆっくりではあったが確実に進んだ
それぞれの色の軍に散っていったアケミや、ケルルを
ゴロリは見届けた
「……さて、ゴロリ。わたしたちも行こう」
「そうだな」
受付の男は先導して、ゴロリを緑の軍に案内した
「負ける気がしねぇ」
「ていうか人多過ぎだろ。余裕だな」
緑の軍は、整列すると早々にギルドを出た
丁度神殿とは逆方向なようで、竜などの魔物も出現したが
冒険者達の力で、蹂躙されていた
「やはり皆、戦闘能力は強いんだな」
「うむ。余興とはいえ、流石の人材だ」
ゴロリはふと気になって、首だけ振り返っていった
すると受付の男が、微笑しながら答えた
「騎士とかも混ざっていたな」
「……気になるのかね?」
「なにを今更」
ゴロリは受付の男から目を離し、前を見た
「な、なんじゃこりゃあ!?」
「も、もうダメだぁ。お仕舞いだぁ……!」
(まぁ仕方ない、か)
緑の軍が拠点に付くと列は乱れた
いつの間にか、ゴロリと受付の男は先頭に躍り出ていた
ゴロリ達の目の前には絡み付く巨大な蛸の軟体生物がいた
「むんっ」
「お、おいっ!?」
「ゴボゴボッ」
受付の男の片手から突如放たれた火球が巨大蛸を襲った
ゴロリは受付の男の行動に、思わず声をあげる
火球は丁度目の部位にあたり、巨大蛸は何やら体の色を赤く変化させた
「……くっ」
そして、巨大蛸は怒り狂うように触手を振るった
受付の男は青白い特殊な障壁を両手で張って、防いだ
「い、いいぞ、フールさん。そのままやっちまえ!」
「頑張れぇっ!」
ゴロリの後ろで冒険者が応援していた
「……いけ、じじいっ!」
ゴロリも、それに続いて叫んだ
「ほぅ、なるほどな……燃えてきたぞい」
受付の男は片手で障壁を操作しながら
もう片方の手で、炎を凝縮させていた
「見よ。これぞ、勝利のでこぴん……っ!
焔デコピン(フレアでこぴん)!」
でこぴんなのか。ゴロリは少し思った
「……ブクッ」
受付の男から放たれたのは小さく、白い炎だった
小さいながら、着弾すると巨大蛸の姿を消し去る程の威力を発揮した
「うおおっ、すげぇっ!」
「やっぱりフールさんは頼りになるわ」
なら、受付使ってやれよ
歓声送る冒険者達にたいしてゴロリは少し思った
「ケルルちゃんが心配だ……どんどんゆくぞ」
「ああ」
受付の男は橋を歩いた
ゴロリも後に続いたが、ふと後ろを向くと冒険者達が固まっていた
「……ちょっと待ってくれるか?」
「……どうした?」
受付の男が後ろを振り返ると
ゴロリは冒険者の方を向いて息を大きく吸っていた
受付の男は何かを察して指で耳栓をした
「貴様らぁっ、サボっとらんで、とっとと進まんかぁっ!」
「ひ、ひぃいっ……あ、あれ。なんで進めるんだ?」
「奇遇だな。俺も進める。加勢するぞ!
もう何も怖くない!」
「いいぞ、お前たち。闘ぉ志を燃やせぇっ!」
「おおーっ!」
ゴロリの号令で、冒険者達は覇気を取り戻し
我先にと橋を渡った
「……終わったかね?」
「いいや。まだだ。貴様も老体に鞭を打って俺を背負えぇっ!」
ゴロリは受付の男が耳栓を外したのを見計らって指差し、叫んだ
受付の男はなるほどなと察したようで
ゴロリに背を向けると、後ろに手を伸ばしてしゃがんだ




