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案内されたようです

「まさかとは思うが、王城の中か?」


「そうだ」


 ゴロリ達は全身鎧の猫騎士に連れられ、王城の敷地内へ入っていった

 城壁は高く、アーチ型の城門も大人が二人並んで入れるくらい間口が広かった


 城内はさすがの広さで

 街施設の中で最大といっても過言ではないほどだった


 城内は2階建て構造になっていて地下もあり

 即戦力を育成するため、比較的日当たりの良い1階部分は

 全て訓練施設になっているらしい


(てっきりしこたま剣を振るのかと思っていたが)


 猫騎士に城を丁寧に案内されて

 ゴロリは少し楽しいと思い始めていた


「スゴい、スゴい!

 女性の方も沢山いらっしゃるんですね!」


「あっちで魔物みたいなのも見たぞ!?」


「二人とも興味をもってもらったようで何よりだ」


 目を輝かせるアケミとケルルに猫騎士は満足気に頷いた


「……人手が足りないんじゃなかったのか?」


「そうだ。これでも足りていない」


 それほどなのか

 都会さながらの人口密度だったためゴロリは少し驚いた


「……魔物というのは日々わいて出てくるが

 こちらは寿命があったり、確執があったりして限界があるのだ」


「確執?」


「……余計だったな。忘れてくれ」


 確執という言葉に興味を持ったゴロリだったが

 猫騎士の失言だったようなので、そこまでの詮索はやめた




(結局こうなるんだな)


 二階と地下は案内できないからとゴロリは猫騎士にいわれ

 アケミとケルルは木の模擬刀を片手に銅の案山子を打っていた 


 案山子は幾つかあったが、猫騎士は意外に偉いようで

 城庭に存在するその場所を貸し切りにしてくれていた

 そのお陰で、アケミとケルルは隣同士で打ち込むことができた


「えいっ!」


「うーんそうか

 アケミはもう少し小さい動きで振ったほうがいいかもしれん」


「うりゃあっ!」


「うんうん。やはり筋がいいな。ケルル」


 猫騎士のレクチャーを受けながら

 二人が目の前の案山子を打っている様子を

 ゴロリは黙って見ていた


 アケミは大袈裟に振るのが好きらしい

 彼女は豊かな障害があるため、振りにくそうにしている


 ケルルは元々武道に精通しているだけあって

 細かく人間の急所を打っているように思えた


「なぁ、君は本当にいいのか?」


「老体に鞭を打っても仕方ないだろう」


「老体? 君は一体――」


「こうですかねっ!」


 ゴロリに対する猫騎士の言葉を遮るように

 アケミは模擬刀を縦に鋭く両手で振った


「こいつをそれで切ってしまうとは

 ややはり君は天才だ、アケミ……!」


 アケミの前の案山子はぱっくりと二つに別れていた

 猫騎士は抱き付きそうな勢いでアケミの両肩を掴んだ


「そ、そんな。天才だなんて……」


 アケミも案外まんざらでもなさそうなのがゴロリには面白かった


「……あたしもやってみようかな。とりゃあっ!」


「け、ケルル。得物を手放してしまったのは惜しいっ

 だがスゴい力だ。惚れ惚れするっ!」


 ケルルが渾身の思いで投げた模擬刀は

 案山子の心臓付近に突き刺さっていた

 あまりの豪快な一撃に猫騎士は思わず立ちくらみがしたようだ


「やっぱりスゴいなアケミちゃんは!」


「そんな、そんな。ケルルさんほどではありませんよ!」


 ケルルはアケミの案山子を覗くと、笑いかけながらアケミにいった

 アケミは何やら気恥ずかしいようで、体を左右に捻っていた


「二人ともわたしの期待を大きく上回った!

 是非とも入ってくれ。いや、入ってください」


 猫騎士は土下座せんばかりの勢いで二人に深々と頭を下げた


「それは無理な相談だな」


「確かにそうですね」


「ぐぅ……そうか。ざ、残念だ」


 アケミ、ケルルがあまりにあっさりと断ったため

 猫騎士は四つん這いになって完膚なきまでに撃沈していた

 そんな猫騎士の姿にアケミ、ケルルは小さく笑っていた


(訓練所、か)


 微妙な顔をしているケルルとアケミの二人を見て

 ゴロリは少し考え込んだ

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