仲良しなようです
受付を後にして、ゴロリの上着を買った後
ゴロリ達は腹ごしらえしにギルドへ帰ってきた
「待て」
ゴロリは先頭を歩いていると、気になる人影を見つけた
「どうしましたゴロリさん?」
「見てみろ」
ゴロリ達は衛兵を数人連れた全身鎧の騎士が
マッドサイエンティスト風の男と受付越しに会話しているのを見た
「……なんだあれ。不審者?」
「い、いや違う。例の精鋭部隊がどうのいってた奴だ」
ゴロリはケルルのあまりにばっさりとした言葉に
もう少しで笑いそうになった
「おい、土下座しだしたぞ!?」
ケルルがいった通り、騎士は土下座していた
衛兵が囲っており、見えにくいがアケミより更に小さいケルルであれば
見えているのだろうと、ゴロリは勝手に納得した
「捕まっても面倒だ。銭湯で時間潰そうか」
「まぁ、そうですね……」
「あっ、待ってくれよ!」
ゴロリ、アケミ、ケルルは受付の男に土下座している騎士を尻目に
ギルドを後にした
銭湯は相変わらず受付がザルだった
話し合った結果、ゴロリが一人で入ったあと
ケルルとアケミの二人で入ることになった
「おう、おっちゃん。ゆっくり入れたか?」
「あっ……」
「それなりだ、なぁっ!?」
タオルで下半身を隠して、ゴロリは大浴場から出てくると
ケルルとアケミは既に服を脱いでいた
二人とも、タオルを巻いているだけだ
「アケミちゃんと一緒に入っちゃおうかと話しててさ
……なんだ、もう出ちゃったんだ」
「残念です」
「るさいっ、さっさと入れ!」
ケルルの爆弾発言とアケミの豊かなものにゴロリは思わず叫んだ
危ない。年取ってて良かったと初めて思った気がした
「は、はーい」
アケミとケルルは同時に返事をした
油断も隙もあったもんじゃないな。ゴロリは少し思うと着替え始めた
「はー、いいお湯でした」
「全くだな」
(こうしてみると姉妹みたいなんだが)
ゴロリは大浴場からタオル一枚で出てきたアケミとケルルを改めてみた
付き合いが長い二人だ。今更そんな気も起きないことに気がついた
ただ服を着ているから、余裕があるだけかもしれないが
「あっ、ゴロリさんその上着逆ですよ?」
「なんだと!?」
ゴロリはアケミに指摘されて自らの上着を見ると
うんざりした顔になって着直した
「さっきいおうと思ったんだけど
おっちゃんって何気にガタイいいんだな」
「……二人とも風邪引くぞ」
何故か楽しそうにしているアケミとケルルを見て
ゴロリは圧倒されそうになった
銭湯で洗い終えると辺りはすっかり暗くなっていた
ゴロリ達はまたもやケルルの家にて鹿の燻製をご馳走になった
道場のような広い部屋にちゃぶ台サイズの机をだし
ゴロリ達3人で囲うようにして床に座った
「なんだか今日は疲れた」
ゴロリはそういって鹿の燻製をフォークで刺しそのままかじった
「でも、楽しかったよな!」
「はひっ、ころりひゃんのひっくり顔みられ良かったでふっ!
(はいっ。ゴロリさんのびっくり顔見られて良かったですっ!)」
「……飲み込んでからいえ。飲み込んでから」
ゴロリは口を動かしながら喋るアケミを少し注意した
自分と一緒の食事の仕方なので、さすがに何とかしないとと思った
ケルルはその点、しっかりしているようだ。きちんと小分けにして食べている
「んくっ、楽しかったです!」
「それはなによりだな」
鹿肉を噛んで口を動かすゴロリを見て
くすくすとアケミとケルルは笑っていた
「なにがおかしい!?」
ゴロリは二人の反応に少しむきになった
「いや、おっちゃんって普通じゃ飯の間喋らないから珍しいなって」
そういえば、飯の間に喋ったのはこれが最初だったかもしれない
ゴロリは目を泳がせた
「アッハッハッ!」
「クック……! お腹痛いっ。お腹痛いですっ!」
ゴロリの様子を見て、二人は大きく笑った
いつの間にこんなに仲良くなったのか
ゴロリは舌を巻いた
「おい、ケルル!
布団が一つしかしいてないぞ。どういうことだ?」
ゴロリは早々に食事を済ませると寝室に入っていったが
しいてある筈の布団が2つほど少なかった
4畳一間くらいの寝室で、唯一土足で入っていけない部屋でもあった
「さっき、アケミちゃんと決めたんだ
おっちゃんと一緒に寝ようって!」
まじか。ゴロリの頭の中はこの言葉で埋め尽くされた
「ダメ、ですか?」
アケミよ、その上目遣いはよくない。断れない
ゴロリはアケミに小さく頷いた
「入れるのか!?」
「入れますっ!」
「まぁ、あたしは余裕だな」
(せめぇ……)
ゴロリが布団に入ると、二人はゴロリの体を挟むようにして入ってきた
片方は柔らかいし、片方はなにやら心臓がばくばくしてるしと
ゴロリは落ち着かない夜を過ごした




