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戦国ヒーロー

作者: 丸と罰

 生まれは平成、生きるは安土桃山、群雄割拠ひしめく生粋の武士の時代で、狂乱の如く暴挙を振るう一人の異端者がおった。

 戦場のど真ん中の、対テロリスト襲撃を想定した堅牢なる塔で籠城を図る。鋼鉄の門を有し、遥か上空からライフルで狙撃。またはロケットランチャーで爆破。それはまさしく、無慈悲な所業であった。

 武士など敵ではない。現代文明の兵器で応戦する我は、戦国時代に現れた天上天下唯我独尊、無敵無情のヒーローである。


 我が城の前に現れたは、織田軍の明智光秀殿の一団とお見受けする。確か彼は、本能寺の変で織田信長を討った重罪人、または英雄の筈。しかし三日殿下とはよくいったもの。彼はすぐさま天下から退き、秀吉の足場にされることとなる。

 このままやつを仕留めれば、信長が幅を利かせかねん。とはいえ、教科書の一頁に「無念、明智光秀。凄腕スナイパーにやられる」と我が名が刻まれるは、やぶさかではない。

 明智は門を開けるべく、兵に命令し、なにやら策を巡らせている様子である。この城を前に、刀など丸腰に等しい。やつは状況把握能力が薄いと見うる。

 論じた結果、火計でこの城に攻めうるらしい。なんとも拙劣な脳味噌よ。この程度が、教科書に掲載され、学問の必修分野に名を連ねることに、我は憤り以前に深遠なる哀れみを感ずる。

 三日殿下は伊達ではないといったところか。笑わせおる。ならば、やつは歴史に必要ないと我は判断する。

 我は高性能スナイパーライフルを構え、狙撃の体制に入る。筒のようなものを触る明智に標準を合わせ、狙い撃つ。

 死ね、明智!

 忽然と鳴り響いたひゅーと言う音に我の殺意はかき消された。そのまま白煙が眼前を過ぎていき、爆音と共に火花が飛び散る。

 何事か、我は動揺を隠せない。そして、明智は叫ぶ。












「たまやー」

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