離反
前話と合わせて投稿すべきだったなぁ・・・。
と少し後悔。
「・・・では、おぬし等はそれでよいのだな?」
第三軍団の拠する山々の中腹から伸びる洞窟の奥。それは低く響いた音と共に言葉を頭に響かせてくる。
巨躯。洞窟の奥にいるとは思えぬ程のその体躯は曲げられたままでも高さにて城壁の壁を思わせ、その身一つ一つに皿のような大きな花びらを何層にも纏うかのように薄い紅を重ねそのグラデーションを光の反射によって魅せている。しかしながらその美しさに見惚れる余裕を持つものはその存在感の前にはいないのだろうと思われる。
「あぁ・・・。わざわざ山を降りるが俺らにはねぇよ。」
その存在感を前にしてあぐらをかいて、軽く見上げるそれは立ち上がれば彼と目を合わせる事が出来る体格を有していた。それが第三軍団の長。カルファ=ニクシールであった。
そしてその場にいた他の3名もその問いに是の意思で脳裏を満たし、膝を折ったまま首肯にて応えた。
第五軍団の長であるシシノア=ロッドはその全身を羽毛に覆われ、その背に羽を持つ鳥人族であった。
第七軍団の長であるレイア=リンカーはゆったりとした薄く長い衣をまとった青い髪を背に流す女性であった。
第八軍団の長であるカカ=パパッチは小さな角を額から頭上、背を通り、尻尾に至るまで連なって有する蜥蜴人族であった。
カルファの言葉は彼ら巨人族にこそ当てはまる話ではあったが、その土地を離れて魔王の下を訪れない。
その選択をし、それを此処に住まう自身ら以上の存在に話す事に意味があった。
「そうか。おぬし等が我に煩わしさを感じるさせる事がない事を祈っておくとしよう。」
そう告げると竜は首を曲げ、身体を丸め伏せ、瞼を閉じる。
そして彼ら4名のチラシからは先代魔王軍の冠が取れていた。
魔王軍の分裂もまたチラシにより知られる所となる。
特にレイアの率いる第七軍団は有する港により交流を他国とも持っており、魔王復活の報を凌ぐ速度で世界に広まった。
魔王もまた動く事を迫られていた。