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対魔王連合

魔王城より東。

国境大森林を越えた地点。森を抜けると目に付く砦がある。

旧アレイシア国の居城跡地に建てられた、現対魔王連合の重要拠点である。


この砦。その名をアレスと呼ぶ。

ゲオルグを含めた近衛を引き連れて戦った勇者の名から取られている。


現在、この砦は二人の責任者によって管理されている。

アレス防衛部隊部隊長のクライン=ボーガンと対魔王連合アレス方面合同駐屯軍総指揮セッツアー=アノーの二人だ。


森から砦を挟んで後方には小さな村がある。

アレス防衛部隊は主にその村を治めるファーレン国よりの派遣兵により構成される。またその村の出身者も多く防衛部隊に参加している。クラインもまたその村の出身者である。


一方。セッツアーは、現在13の国からなる対魔王連合のうち連合内で最も南に位置している国の出身である。海に面しているその国は連合の中でそこそこ資金力もあり、最も連合へ兵を出している国でもあった。


命令系統の異なる二つの部隊がそこに駐屯している訳だが、国同士の思惑が飛び交う分連合兵は基本的には防衛部隊の指揮に従うようになっている。


ざっくり言うと・・・。

連合議会⇒連合軍司令⇒連合部隊で降りてくる命令を優先するが、

その命令の変更がない限り、或いは命令の降りてこない場合。防衛部隊の判断で動く事となっている。


防衛部隊に駐屯軍の指揮権はないが、連合駐屯軍には防衛部隊の指示を仰ぐ命令が出ている。といった所だ。




「魔王復活か・・・。」

机の上にはこの辺りの地図。地図を挟んで数名の男がいる。石壁の内側に木を組んだ部屋の中でクラインはため息と共に言葉を吐いた。

「はい。偵察に出た兵の見たチラシから出ていた先代の文字が消えたとの報があった以上間違いはないかと。」

「まったく・・・体制の整う前に打って出ろっと言われて集まっておいて最終決定が下りずに立ち往生とか・・・どうしようもない。」

周囲の兵もまた言葉を吐く。

「辛気臭せぇ事をぼやいても仕方あるまい?動けない以上見てるのが最大限の努力ってもんだ。そりゃ・・・防衛戦にしてしまえばやりようはあるかもしれんがな?」

「それこそ性質の悪い冗談だ。それに下手につついた所で手出ししてくれるのは砦じゃなくて村だろ。」

セッツアーが片側をしかめた笑顔のまま口にした言葉を、ますますため息深く告げ返すクライン。

「だよなぁ~・・・。やるからには森を越えるつもりで行かんと被害の増える程度の方が高いものなぁ・・・。」

後手にも程があらぁ~・・・そう投げる言葉と共にまたため息は響くのであった。

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