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魔王軍

再三の話になるが、魔王ゲオルグは魔王軍を8つに分けていた。

そのうち魔王軍の第一軍団と第二軍団は特殊である。

特に第二軍団は”影騎士団”とチラシに称されているように魔王の影である。

魔王によりその姿、数、能力は武装、外見すら時に変容する存在であった。


魔王ゲオルグの時には長剣と盾を扱う者が多く、鎧の表面は照り返す光を黒く染める輝きを持っていた。

魔王サーリアの時には大剣を扱う者が多く、光をその身に飲み込んでいく闇のようであった。


ゲンゾウの影は魔王と影の関係になって以後も無手であった。無手にて現れ、其処にあるものを使う事が多かった。

鎧も丸みを帯びた姿の者が多く、その輪郭は曖昧なままであった。

確かにそこにあって、殺気も感じ、恐怖を覚えるのだが姿に焦点を合わせにくい。

そんな存在であった。

そして何より獰猛であった。手にした得物を振り相手に叩き付けたかと思うと、その手を放しそのまま掴みかかる殴りかかる。そのような事もしばしばあった。


影は魔王の存在を受けて日ごとに数を増し、その数をある一定程度に保つ。

討たれれば勿論その数を減らすが、日を追えばまた数を戻す。


魔王ゲオルグの時には300程での行動が多かったが、総数は3000ぐらいと言われていた。

もっともゲオルグが最後に立った戦場では5000を超えたとも言われている。

魔王サーリアの場合は20~50ぐらいの単位での運用が多く、同時に現れたのは300程。で逐次追加されるような形で出現していた為、総数は正確ではない。がおよそ1000と言われている。

そして現在、ゲンゾウの影はその総数を1としていた。


そして第一軍団。カリッツの率いる軍団はカリッツを始め、その配下の半数をアンデッドが占めていた。

死者が産まれてこそその数を増やす彼らは魔王の居城の周辺を警護するのが魔王ゲオルグに分けられて以降の主任務であった。

カリッツを筆頭に備えたアンデット達の中に意志を強く残すもの程、カリッツへの背信を試みる。そしてそれを正面から退け続けたのがカリッツであった。

カリッツ以外のアンデット達は

カリッツ ⇒ 会話の可能なアンデット達 ⇒ 会話は出来ずとも判断の出来るアンデット達 ⇒ その他に分かれる。

カリッツ旗下の残る半数はゴーレムなどの無生物達であった。

カリッツ以外のアンデット達はそれぞれ自身にあった武具を見に付けているが、カリッツは直刀を1つ身に付けているのみである。

カリッツもまた影と同じく長く魔王という存在に使える者であった。白骨に魔力が注がれて存在を得た彼らの多くは骨身に残る生前の存在に引っ張られる事が多い。カリッツもまた戦士としての想いに長く引っ張られ戦いの中に身を置く事を望んでいた。


大半のアンデット達は生きていた時の記憶に引き擦られ、嫉妬や羨望を見せる。死する時の思いもそれぞれにあろうが、弔われる事の無い事情の中身自体負の要素がある場合が多い。

カリッツもまた死して尚死を怖れる骨であった。

増えては減り、減った以上に増えていく同族達と共に死者の生に対してすら生き残る事に執着した彼は幾度となく滅びを逃れた。倒した者の鎧を奪い、盾を奪い、命を奪い、死を拒んだ。

そして生き残った同族の中に、生者に対するよりも彼に対して憧れを持つ者が現れ始めた頃には、彼が同族達の指揮を取っていた。


彼が鎧を捨て、盾を捨て、ただ一本の剣を持つのみとなったのは、1つの気付きからだった。

手入れをされた武具程長くその状態を保ち、最後の時まで美しくあり、その末路もまた儚くとも輝く事に。

彼には肉はないが骨はあった。その骨がひび割れ砕ける事、削れ摩耗していく事。

その様子にふと自らの骨を自分の意志を通す為の道具のように思えた。

彼はその一本の剣とその体を大事に、この死者の生を使い切る事を望み始めた。

未だ彼は死が怖い。怖いのだが生きていた時ですら使い切れなかった自分自身に与えられたこの時間を使って生き切りたいと思っていた。




魔王の居城を中心に荒野、森そして山の順で囲い。その森より内側を第1軍団と第二軍団が。

その外側を第三軍団以降がその周囲へと配されていた。囲う山を越えた先にそれぞれ。


第三軍団は北。

山を越えた先もほぼ下る事なく連峰が続く。

第四軍団は北東。

高地からなだらかに広がる丘陵地。ヒューリフィス=クロフォードが拠を構える。

第五軍団は北西。

北よりもさらに高い山々が多く、反面急な谷も多い崖地。

第六軍団は南東。

荒地と砂地の割合が多い。ボルグ=ゴブリンの治める地。であり国境大森林に最も近い町コルトディンもここに位置する。

第七軍団は南西。

平原を横切る大きな河があり外海に面する港がある。

第八軍団は南。

広く湿地帯の続く土地。


第四軍団と第六軍団に程近い所に広がる大森林は元アレイシア国との国境でもあった。



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