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北の山の竜。

「あれには勝てねぇ!なぁお前も降るんだよ!」

カカは必死であった。魔王軍はそれぞれ元より自身の好む場所に住んでいた。

戦で外へ出ていかずとも贅沢をせねば、ある程度の生活できる基盤はそれぞれに整っていた。

東に位置する二つの軍だけは長く交戦の続く戦場でもあったから攻勢に出れる機会は逃すまいと思っていた。

魔王ゲオルグからゲンゾウに変わるまでの間に積み重なった思いの違いであったのだろう。

「断る。」

カルファは腕を組み座り込んだまま、半眼にて目線を合わせて応える。必死で話す第八軍団の長であるカカは立ったまままくしたてていた。

「いい加減にしろっ!俺らの手におぇっ!・・・」

カルファは右腕でカカをはらった。蜥蜴人族の皮膚は固さとぬめりがある。それにより鎧をつけずともそれなりに防御力を持つ。その蜥蜴人族の顔・肩をひしゃげさせて、弾き飛ばし、数メートル先の壁に叩きつけた。壁に当たる前に既にモノと化していたそれに一瞥もくれず、ぬめる腕を拭く。

「うっせぇ・・・はぁ・・・かったる。」

カルファは頭をかきながら、立ち上が・・・るとぶつける天井を屈みながら移動して寝床へと向かうのであった。



北の巨人たちは竜と互いに関わらずに生きていた。

鳥人族たちは竜を崇めて生きてきた。

魔王ゲオルグとの戦の中で降った彼らは魔王サーリアを退けるだけの実力があった。

そして彼らの住処は竜の縄張りの近くでもあった。

過去に竜にその野望を妨げられた魔王も少なからずいたのであった。




「・・・わずらわせるな。と言っておいたはずだが?」

(案の定滅茶苦茶怒ってるじゃねぇか。くそう。)

俺は先日4人の団長を引き連れて行った竜の寝床へと再び訪れていた。

「わーってるよ。俺だってそんな気はねぇだよ!。俺だってお前みたいに寝ていたいんだぜ?」

「・・・我は面倒で退屈なだけだ。寝てたい訳ではないわ。」

大型犬の前に座り込む子どものような構図で対話を繰り広げる巨人と竜。


溶岩竜バルバドイは住まう山と共に生まれ、山と共に大きくなったと言われてる竜である。

その山に連なる山々生きる鳥人族はその存在を厚く崇めている。

そんな竜と長く遊び相手であった歴史を持つ巨人族との関係は緩い。

カルファもその身250年を越えるのであるが、巨人族。おおよそ600年ぐらいは生きると言われており、そんな中ではまだ若いと称される。

最もバルバドイはようよう4000年を越えて少し分別が出てきたか?と言われている。(巨人族談)


「退屈だっていうなら、ちょっと魔王さんの相手してきてくれよ?なんでも蜥蜴人族どもを2000程一瞬で蹴散らしたらしいぜ?」

「却下だ。却下。2000だろうが3000だろうが、そんなもんお前でも出来るだろーが。」

「いやいやいや!!俺にそんな根気ねーよ!!」

倒せる事自体は否定しないカルファではあるが、沼地で3000は確かに骨であった。最も遠距離対策に攻撃を届く距離への移動。それだけでもカルファにとって充分に考えるのを放棄したくなる程面倒なのだった。


カルファとバルバドイはあれが面倒。だから嫌だ。んなもん知らん。嫌だ嫌々・・・とウダウダとやりたくない談義を交わすのであった。夜が更けるまで。

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