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10(マリアンナの物語のその後)

マリアンナがバラの咲く庭を散歩していると、クライヴがやってきました。

クライヴは王子様のように優雅にマリアンナの前に跪きます。


「マリアンナ、君のことを愛してしまったんだ。どうか僕と結婚してくれないか?」


クライヴが一輪のピンクのバラを差し出しました。きっと庭に咲いているものを手折ったのでしょう。

マリアンナは大好きなクライヴから結婚を申し込まれて、舞い上がるような気持ちでした。


「はい、私でよければ喜んで」


マリアンナがバラを受け取ると、クライヴははにかんで笑いました。

マリアンナはその笑顔がとても好きでした。

ジルベールと婚約していた時には感じたことがなかった気持ちです。

マリアンナは、お母様が死んでしまってから、はじめて幸せだと感じました。

バラの香りが胸をいっぱいにしました。


マリアンナはバラを見つめてほぅ、と息をつきました。


王子様のようにかっこいいクライヴ様が結婚を申し込んでくれるなんて、夢のようでした。



しかし、そこではたとマリアンナは思い出します。

クライヴには公爵令嬢と隣国の王女様という、婚約者候補がいるのです。

婚約者候補の話は貴族なら誰もが知っていることでした。


「クライヴ様、ベアトリス様のことはよろしいのでしょうか。私に結婚を申し込んでくださったために、ベアトリス様は婚約を解消されてしまうのでしょうか」


公爵令嬢と隣国の王女様なら、きっと隣国の王女様が優先されます。

そうなったら、隣国の王女様はこの国の王太子殿下と結婚することになるでしょう。


クライヴはマリアンナに頷きました。


「ちゃんと調整しているから大丈夫だ。マリアンナはなにも心配することはないよ」


クライヴの言葉に、マリアンナはほっと息をつきました。クライヴがなんとかするというのなら、きっと大丈夫なのでしょう。

マリアンナを危機から救ってくれたのはクライヴなのですから。


「それなら、ベアトリス様には直接謝罪をさせていただきたいです。ベアトリス様がどう思われているかわかりませんし…」


マリアンナがクライヴにそうお願いしました。


「ベアトリスは僕のことは何とも思ってないから大丈夫だと思うが…マリアンナが気にするなら、何かの機会に直接話せるようにしてあげるよ」


「ありがとうございます!」


クライヴはマリアンナのお願いを聞いてくれました。


お願いを聞いてもらったものの、マリアンナがベアトリスに会う機会はなかなかありませんでした。

お茶会などにも参加していないマリアンナは、学園外でベアトリスに会う機会がありません。学園ではクラスが違うし、忙しくしているベアトリスに近付くタイミングはありませんでした。




そして、しばらく時が流れ、ある夜会でやっとベアトリスと話す機会がやってきました。


マリアンナがベアトリスの方を見ているのに気づき、クライヴがマリアンナをベアトリスのもとに連れて行ってくれました。



「申し訳ありませんベアトリス様。私、クライヴ様と結婚のお約束をしたんです」


やっとベアトリスに謝ることができました。睨まれてしまったら、と思うと怖くて顔を見ることはできません。

マリアンナはクライヴの腕に縋ります。


「どうしても愛する方と結婚したくて…」


そうなのです、マリアンナは、どうしても愛する人と、愛のある結婚をしたかったのです。


マリアンナの母は、きっと愛のない結婚をしたのでしょう。

そのせいかはわかりませんが、家に帰らない父を待って早くに亡くなってしまいました。


マリアンナは、母の分も愛のある結婚をして幸せになってあげたいと思いました。


マリアンナはひとまず謝れたことにほっとしました。

ベアトリスは怒っていたのかもしれませんが、わかりませんでした。

直接確認する前に夜会が始まってしまい、そのあとベアトリスはどこかへ行ってしまいました。



マリアンナとクライヴは夜会を楽しみ、二人で公爵家へ帰りました。

別れ際に、クライヴが優しく微笑んでくれました。


「アラン叔父上の婚約は予想外だったけど、ベアトリスにはちゃんと伝えたし、これで僕たちの結婚の障害はなくなったよ。マリアンナ、愛しているよ。結婚できるのが楽しみだ」


クライヴの言葉に、マリアンナも自然と笑顔になりました。


「はい、クライヴ様。私も愛していますわ」


その日、2人ははじめて口づけを交わし、照れながら別れて行きました。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




それからほどなくして、マリアンナは隣国の子爵家の養女となりました。

養い親となった老夫婦は、子どもができない体質だったとかで、マリアンナのことを本当に可愛がってくれました。



養母は寝る前のベッドでお話をしてくれます。

それは幼子にするような物語ではありませんが、この国の伝統や、神話など、とても勉強になることです。

そして、最後にぎゅっと抱きしめて、マリアンナにおやすみと言ってくれます。



養父はマリアンナをいろんなところに連れて行ってくれました。

ある時は美しい湖、ある時は一面の麦畑、ある時は星がきらめく丘。

子どもができたら見せたいと思っていたんだと、養父母と、クライヴと一緒にたくさんでかけました。



そう、クライヴも一緒なのです。

クライヴは、マリアンナが養女になったお家が経営する商会で、見習いとして働いています。

なので、クライヴも一緒に隣国の子爵家に住んでいます。

そして、マリアンナとクライヴはまだ結婚していません。



「僕が一人前になったらきっと結婚しよう」


クライヴはそう言ってくれました。

クライヴは公爵家の跡継ぎだったはずですが、なぜかマリアンナについて来てくれたようでした。


クライヴは公爵じゃなくなることを気にしているようでしたが、マリアンナはクライヴといられるのであれば構いませんでした。


それに、最近は養父母が優しいので、ちょっぴりお嫁に行くのが寂しくなってきています。

クライヴが一人前になるのは、もう少し先でいいなと思いました。


素敵な両親と、大好きなクライヴが一緒にいてくれるので、マリアンナはとってもとっても幸せでした。



めでたしめでたし。

最後までお読みいただきありがとうございました。

しばらく前に書いたものなので、できるかわかりませんが、レティシアやリリアンナの話もいつか追加したいと思います。


下にある☆☆☆☆☆をクリックして★★★★★にしてくれたらとてもうれしいです。

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― 新着の感想 ―
クライヴが覚悟さえ決められれば不幸な人間はいなくなりそうですね。
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