表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者の姉の婚約者がわたくしの婚約者になりました  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/5

第5話:ピンクブロンド令嬢の苦悩

 ――――――――――ルゴル男爵家邸にて。


「ベッキーお嬢様、おやすみなさいませ」

「ええ、おやすみ」


 侍女を下がらせたあと、思わずガッツポーズを取ってしまう。

 くふふ、やったわ!

 先日の卒業パーティーでの衝撃的な婚約破棄、感動しましたわ!

 正式にリディアとの婚約解消届を役所に提出したと、エドガー様から連絡がありました。

 ついに邪魔なリディア・デービスを排除したわ!

 これでエドガー様は私のものね。


 大体いくらスクールの成績がいいからって、あの野暮ったい娘が太陽神のようなエドガー様の婚約者だったっていうのが間違っていたのよ。

 エドガー様に相応しいのは、私のような可愛げのあるの女だわ。

 エドガー様が簡単に私のウソを信じるとは思わなかったけど……。

 きっとエドガー様もあのリディアをお嫌いで、婚約を破棄する機会を窺っていらしたのね。

 それとも私が魅力的で伴侶にするに足ると思われたのか。

 エドガー様のおつむが悪……いえいえ、そんなことはないわ。


 ともかく今の展開は私の思い通り。

 侯爵令息と結ばれる未来への幸福感に包まれたまま、私は眠りに落ちた。


          ◇


「こんばんは」

「えっ……誰?」


 確かに自室で寝た記憶があるのに見慣れない場所?

 あっ、夢の中だこれ。

 私にはわかりますわ。

 だって私はバカじゃないもの。


「勝手に夢にお邪魔していますので、自己紹介は必要でしょうね。私は魔法神よ」

「魔法神?」


 知性を湛えた瞳、どことなく厳かな雰囲気もある美人。

 なるほど、神なのかもしれません。

 でも知らない人(神)が夢に出るなんて初めてだわ。

 所詮夢とはそんなものでしょうけれども。


 しかしこうも思う。

 ……神って決して暇じゃないと思うわ。

 私の夢の中に登場する、これが真の夢でなければですけれど、絶対に何か理由があるはず。

 それって何かしら?

 警戒を要するわ。


「神様が何の用かしら?」

「リディアちゃんは私の庇護下に入ったのよ」

「庇護下ということは、神様がリディア・デービスを守るということ?」

「ほぼほぼ正しい理解ですね」


 ……ちょっと面白くない事態だわ。

 どうやら神様は私に罰を与えるために現れたみたい。

 どうして余計なことをしようとするのかしら?

 下界のことは下界の住人に任せておけばいいのに。

 いや、夢は所詮夢だわ。


「それでリディアちゃんを無実の罪に落としたあなたを許せなくて」

「それはおかしいわ。ウソを吐いたことは認めますけど、リディア・デービスを断罪したのは私じゃないわ。法的に罪というわけでもないし」


 これは正論です。

 リディアとの婚約を破棄してどん底に突き落としたのは、あくまでもエドガー様だわ。

 リディアが伯爵令嬢で私とは身分差があるため、直接何かをするのは分が悪かったということもあるけど。

 私冴えてる!


「それはそうなのだけれども、この件は元々恋愛神の管轄で」

「は?」


 恋愛神?

 そうね、婚約破棄に魔法神がしゃしゃり出てくるのは、考えてみるとおかしいわね。

 あれっ? というか魔法神なんて全然関係ないじゃない。

 どういうこと?

 やっぱり夢だからかしらね。


「恋愛神的にはこうした場合、ざまあするのがお約束だそうなのよ」

「ざまあとは何ですの?」

「わかりやすい表現ですと、悪事の報い、ですかねえ? それで慣例にしたがって私もざまあしに来たの」

「そうなのね」


 どうして恋愛神がざまあしに来ないのかしら?

 というかざまあされるならエドガー様なのではなくて?

 夢に整合性を求めても仕方ないですけれども。


「色々考えたのだけど、あなたの髪の毛が一時的に抜けてしまう呪いをかけようかと思って。どうかしら?」

「どうかしらと言われても」

「呪術は魔法神の管轄なのよ」


 そんなこと聞いてない。

 やっぱり夢はいい加減ね。


「じゃあそれで」

「文句はいいの? ざまあってこんなにアッサリでいいのかしら? 私も慣れないことなのでよくわからないの。ごめんなさいね」

「はあ」


 何を謝っているのだろう?

 私も混乱してしまうわ。

 夢のことなどどうでもいいのに。


「じゃあ明日の朝起きた時にはゴッソリ髪の毛が抜けてるから、驚かないようにね。あ、その髪の毛は取っておいてカツラを作るといいわよ」

「はあ」

「もう一つ注意点ね。またリディアちゃんを虐めたら、今度は毛根が死滅する呪いをかけますから、覚えておいてください。毛根が死滅したら二度と髪の毛は生えませんよ。じゃあねー」

「ちょっと待ってください。一つ質問してもいいかしら?」

「何でしょう? 私も神という立場上、言えることと言えないことがあるのですけれど、なるべくお答えすることにいたしましょう。どうぞ」

「エドガー様はざまあされないわけ?」


 それはそれで納得いかないのですけれど。

 微妙に笑う自称魔法神。


「実はエドガー・スタンホープの夢にもお邪魔したのですけれど、追い出されてしまって」

「えっ?」

「でも報いを受けないなんてことはありませんよ。恋愛神に差し戻すことになりますので、ざまあは後ほどにになりますが」

「はあ」

「では、さようなら」


 自称魔法神が去っていった。

 おかしな夢ですこと。

 ぐう。


          ◇


「きゃああああああああああ!」

「どうされたのです、ベッキーお嬢様!」


 翌朝起きたら、髪の毛がゴッソリ抜け落ちているじゃない!

 侍女が呆れています。


「お嬢様どうしたのです? 髪の毛など剃って」

「剃ったのではないわ! 抜けたの! 起きたら抜けてたの!」


 思い当たるのは昨日の魔法神の夢。

 髪の毛が一時的に抜けてしまう呪いをかけるって言っていたわ。

 夢なのにやけにリアルに覚えてる。

 ほ、本当だったのね!


「お嬢様、頭の形がいいですね。可愛いです」

「そうかしら? 鏡を見せて」


 あら、なかなかキュートだわ。

 じゃなくて!

 貴族の娘がハゲでいいわけないじゃない!

 そうだ、ウィッグを作らないと!


「お父様が懇意にしているヅラ屋を急いで呼びなさい!」

「はいー!」


 飛び出していく侍女。

 お父様が薄毛でよかったわ。

 こんな時にもすぐ対応できますわ。

 じゃなくて!

 魔法神が言っていたセリフを思い出す。


『またリディアちゃんを虐めたら、今度は毛根が死滅する呪いをかけます』


 こ、怖い!

 せめてその呪いは、私じゃなくてお父様にかけてくれないかしら?

 あっ、夢が本当なら、エドガー様はこれから恋愛神にざまあされることになる?

 ではエドガー様の側にいると、私まで被害を被る可能性が大ということ?

 もうエドガー様にもリディア・デービスにも近付かないから許してえ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらもよろしくお願いします。
―◇―◇―◇―◇―◇―
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!
―◇―◇―◇―◇―◇―
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ