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婚約者の姉の婚約者がわたくしの婚約者になりました  作者: 満原こもじ


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番外編:恋愛神再起動

 こんにちは、お元気でいらっしゃいますか?

 魔法神です。


 私が担当することになった不幸な婚約破棄の被害者リディア・デービス伯爵令嬢はね。

 ランドルフ第一王子と結ばれたのですよ。

 いい働きをしたと自画自賛しています。

 恋愛神も文句なかったと思います。


 リディアちゃんは素直で慎ましやかで、しかも私を尊敬してくれるとてもいい子なのです。

 ああいう子が幸せになってくれると嬉しいわあ。

 きっと魔法が、というか魔道具が発展する世の中を作ってくれると思うのですよね。

 私の信者も増えるのではないかしら?

 本当に嬉しいですわあ。


 王子とリディアちゃんの婚約まで見届けたので、この件は私の手を離れたと思っていたのです。

 ところが婚約後の披露となったダンスパーティーで、王子の元婚約者ジュリアナとリディアちゃんの元婚約者エドガーがリディアちゃんに呪いを仕掛けるという暴挙に出たのです!

 幸い結界と呪い返しのおかげでリディアちゃんに被害はなかったのですけれどね。

 私の管轄である呪術を私のお気に入りリディアちゃんに仕掛けるとは何事!

 絶対に許せないと思ったの。


 けれどリディアちゃんはどこまでもいい子なのです。

 ジュリアナとエドガーを許して呪いを解き、ぎっくり腰を癒しました。

 それどころか実行犯の呪術師まで罪を問わずに、その呪術の知識を国の発展に生かそうとしているんですよ。

 意識が高いわあ。

 リディアちゃんは素敵。


 でもね?

 リディアちゃんの守護者を自認する私としてはスッキリしないのよ。

 確かにリディアちゃんは偉かったけど、見守る立場の私が納得しないというか。

 どうすればいいのかしらと思い、はたと気付きました。

 ざまあね? これこそざまあの出番なのね?


 私はピンクブロンド男爵令嬢こと、ベッキー・ルゴルにざまあのマネごとをしてみました。

 ただピンクブロンドに対して私は、あんまり含むところはなかったのですよ。

 何故ならリディアちゃんがエドガーと別れるのはいいことだから。

 エドガーをピンクブロンドが引き取ってくれるのは、むしろいいことではないかと思ったくらい。

 リディアちゃんに恥をかかせたことはよろしくないので、恋愛神から預かったざまあマニュアルに従って処理しましたけど。


 その後ピンクブロンドは反省したようです。

 リディアちゃんに意地悪しなくなりましたし、ざまあの効果があったんじゃないですかね?

 エドガーにも近寄らなくなったことは期待していなかったですけど。

 今後は幸せになってもいいと、恋愛神に報告してあげてもいいです。

 早く髪の毛が生え揃うといいね。


 問題はジュリアナとエドガーに対するざまあなのです。

 無謀な呪い以前ですけど、私はエドガーの夢に介入しようとしたことがあったのです。

 でもその時は追い出されてしまいまして。

 エドガーったらムダに我が強いんですよね。


 ここは恋愛神に相談ですね。

 そろそろ復活する頃だと思いますし、これ以上サボってもいられないでしょうし。

 恋愛神に連絡を取りました。


「ハロー、こちら魔法神よ」

『……相変わらず元気ね。羨ましいわ』

「あ、よかった。大分復活してるじゃない。心配してたのよ?」

『……ありがとう』

「ちなみにあなた、どうやって持ち直したのかしら? 私にも参考になるかもしれないから、差し支えなかったら教えてくれる?」

『……純粋な愛のシーンをひたすら見てたわ』

「純粋な愛のシーン? 恋愛神らしいセリフのような気はしますね。具体的には?」

『動物の交尾』


 全然参考にならないわ。

 まあいいですけど。


「私が担当したリディア・デービス伯爵令嬢の婚約破棄の件で」

『ああ、わたしも経過は見ておりましたわ。いい子ね』

「でしょう?」

『魔法神にお願いしてよかったわ。あなたとは波長の合う子だと思ったから』


 えっ?

 恋愛神の相性を見抜く力って、私とリディアちゃんでもわかっちゃうわけ?

 やっぱすごい。


「結果的にリディアちゃんはランドルフ第一王子と結ばれたでしょう? 恋愛神にお返ししようかと思って」

『そうね。あなたランドルフとジュリアナに関しては関与していなかったみたいだけど』

「えっ? だって何も言われなかったのだもの」

『いえ、いいのよ。そっちは何もしなくても順当に婚約が解消される案件だったから』


 恋愛ってあっちこっちが複雑に関わるから、本来は広く視野を取らなければならなかったのね?

 今更気付いたわ。

 研究者気質の私には、恋愛神のお仕事は向いてないと。


『ごめんなさいね。魔法神にとっては全然畑違いだったのに、わたしの勝手で面倒な仕事を押しつけてしまって』

「いえいえ、対象がリディアちゃんだったから私に回してくれたんでしょう? 私も勉強になったわ。こちらこそありがとう」

『じゃああとはわたしが引き受けますからね』

「そのことなんですけど、私ちょっとムカつく部分があるのよ」

『えっ? 奇麗に解決していると思うのですけれど。ハッピーエンドでしょう?』


 ハッピーエンドと言えばそうかもしれませんけれど。

 かくかくしかじか。

 私の分野である呪術が悪用されてどうのこうの。


『ははあ、魔法神の言い分はわかったわ。要するにリディア・デービス伯爵令嬢とあなた自身が蔑ろにされたようで面白くないのね?』

「これ本来の恋愛神の裁きとしてはどうなの?」

『スタンホープ侯爵家の二人、ジュリアナとエドガーはパーティーでみっともない姿を晒し、限定的ではあってもざまあが達成されました。また父親の宰相もまたある程度の譲歩をせざるを得なくなったわ。これはランドルフとリディアに結構なメリットが発生したと見做すべき。ざまあ単独だと物足りないけれども、リディア自身が許し、メリットが発生しているところまで評価すると、もう手打ちでいいケースよ』

「そうなのね?」


 私がしつこ過ぎるのかしら?

 ちょっと反省。


『でも魔法神が職責を侵された感があるのは理解できるわ。ジュリアナとエドガーにはようく思い知らせておきますからね』

「お願いするわ」

『いいのよ、わたしも心の中のドロドロを誰かにぶつけたいの』

「えっ?」


 恋愛神の心の中のドロドロ?

 考えたくないわ。

 結果的にかなりのざまあになりそう。

 御愁傷様。


「最後にキャロライン・クィルダイム伯爵令嬢なのですけど」

『ああ、リディアを慰める、いい感じの働きをしていましたね。彼女にも祝福をということね?』

「そうなの。よろしくね」


 餅は餅屋、恋愛は恋愛神ね。

 私もリディアちゃんの侍女に褒美をあげたいのですけれど、あの子野心が強いからやめた方がいいかしら?

 悩ましいわ。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

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