第5話:過去の影
「ふむ…この『萌え萌えキュン』という動作は、どういう意味があるんだ?」
リラは、ミクに教えられたおまじないの練習をしていた。
メイドカフェでは、オムライスにケチャップで絵を描き、「美味しくな~れ、萌え萌えキュン!」とおまじないをかけるのが定番だ。
「えっと…ご主人様に、愛情を込めるおまじないです!」
ミクはリラの隣で、お手本を見せながら説明する。
リラはミクの真似をして、指でハートを作りながら「も、萌え萌えキュン…」と呟いた。
その可愛らしさに、ミクは思わず「フヒヒ」と笑い声を漏らした。
その夜、リラは店の片隅で一人、ぼんやりと外を眺めていた。
営業は相変わらず大盛況で、リラの歌声は今日もたくさんの人を笑顔にした。
しかし、彼女の心は晴れなかった。
故郷を追放された夜のことを、リラは思い出していた。
魔王を倒し、英雄として故郷に帰還したリラ。
だが、里の長老たちは、彼女の持つ強大な力を恐れた。
「お前は、里の平和を乱す存在だ!」
そう非難され、リラは故郷を追われたのだ。
『勇者リラは、里の平和を乱した』
その言葉が、今もリラの心を蝕んでいた。
「リラさん? どうしたんですか?」
ミクが心配そうにリラに声をかけた。
リラはハッと我に返り、ミクに微笑みかけた。
「なんでもない。少し疲れただけだ」
「そっか…でも、無理はしないでくださいね」
ミクはリラの隣に座り、そっと肩に手を置いた。
その日の夜、ミクは自分のアパートで、眠っているリラの寝顔を見ていた。
「すぅ…すぅ…」
静かな寝息を立てるリラ。
その顔は、昼間の明るさとは違い、どこか苦しそうだった。
「うぅ…やめて…私は…」
リラは寝言を言いながら、身をよじった。
ミクは慌ててリラの体を揺さぶる。
「リラさん! リラさん!」
「はっ…!」
リラは飛び起き、額に汗を浮かべ、震える瞳でミクを見つめた。
「…悪夢を見たのか?」
ミクが優しく尋ねると、リラはこくんと頷いた。
「故郷を追放された日の夢だ…」
リラは震える声でそう言うと、ミクの胸に顔をうずめた。
「怖かった…また、一人になってしまうんじゃないかって…」
ミクはリラの背中を優しくさすった。
「大丈夫ですよ。リラさんには、私がいます。それに、ユウさんとアオイさんも、店長も、みんながリラさんの味方です」
リラはミクの言葉に、少しだけ安心したように、ミクの体をぎゅっと抱きしめた。
「ミク…ありがとう…」
「どういたしまして!」
ミクはリラの頭をなでながら、優しく微笑んだ。
リラの過去の傷は、まだ癒えていなかった。
しかし、ミクという存在が、リラの心を少しずつ溶かしていく。
それは、かつてリラが剣と魔法で世界を救ったように、ミクが笑顔と優しさでリラの心を救っていく物語でもあった。
次の日も、メイドカフェにはたくさんのご主人様がやってくる。
「リラちゃん、今日も可愛いねぇ!」
「萌え萌えキュン!」
リラはぎこちないながらも、笑顔で応える。
そして、その日の営業を終え、ミクとリラは帰り道を歩いていた。
「リラさん、明日、お風呂屋さんに行きませんか? 広いお風呂で、ゆっくりしましょう!」
ミクの提案に、リラは少し戸惑いながらも、
「風呂…? 広い、湯船…?」
「はい! もちろんです!」
リラは故郷の文化に戸惑いながらも、ミクの提案に、少しだけ心が躍っていた。
翌日、二人はお風呂屋さんで、裸の付き合いをすることになる。
それは、お互いの隠された秘密を知る、特別な時間となるのだった。
あかちゃんなのでわからないけど、☆☆☆☆☆を★★★★★にすると、よろこぶみたい。