決意
「遅かったの」
「ゴメンゴメン、どんな感じ?」
「さっきまでポポが居たぜ」
「へー!久々だったな。会いたかった」
「ポポは癌だからな。今回で抜け出すのは最後かもしれんな。」
「そっか…会わずに終わりそうだな。」
犬も人間と同じ様に癌にもなるし糖尿病や腎不全なんかにもなる。
ポポは普通の気の良さそうなおじさんだった。
多分俺みたいに故意に殺しちゃったとかな気がしている。
まあ、あの悪魔くん埋れ木一郎みたいに見た目優しそうな悪魔かもしれないが…
次は何に転生するか分からないし、転生先がこの近辺とも限らないし、先の未来かも知れないし、今回で最後かも知れないし、やはり2度と会えないかも知れない。
男が多い気がするが、やはり殺人するのは男が多いのだろうか?
それとも生き残る体力が有るのが男が多いからだろうか?
「ポポは次に転生するならやっぱり動物なのかしら」
ノラが呟いた。
「これで終わりかもしれんな。」
ルルが答えた。
「犬畜生と言う言葉がある位じゃからな。やはり道徳に反する行いをする人間は転生は動物なんじゃろうな。」
成る程、やはり年の功、ゴン太の推察が正しそうだ。
「俺達はこの先人間に生まれ変わる事は許されないんだろう。人間に戻って悔い改めれば例えそこで死んでも何か変わるのかも知れない。」
「かも知れんな。」
「まあ、俺はこのまま生まれ変わらなくてもここで終了でやっぱり構わんな。最後は楽しく終わりたいな」
「私もルルに同感」
何かあれだな。世界の最後の日に何をするかって子供の頃友達と話してたのを思い出していた。
友達は寿司やハンバーグを食って終わるって奴や全財産使ってゲーセンで遊びまくるって奴や地下に基地を作って生き残るって奴や宇宙船で脱出するって奴や…
俺はその地下に逃げるや宇宙に脱出の方側の人間だった事を何故か思い出せない筈の記憶を思い出していた。
やっぱり本能的に近い記憶は刷り込まれているのだろうか?
ルルやノラは楽しく終わる側なんだろう。
今日はナナシは現れなかった。
新情報は分からなかった。
○○○○○○○○○○
「はい、音子さん。これどうぞ!」
骨の形をしたおもちゃが付いたキーホルダーだった。
「これ、カミカミおもちゃなんですよ!噛んでも平気な奴です!」
「わあ!可愛いし実用的!有難う、嬉しい!」
「ふふふ、喜んで貰えて嬉しいです!」
俺は尻尾をぶんぶん振っていた。
噛みたい欲求は犬の本能だ。
ホント俺の事分かってる〜!
荒木家の者共、ちょっとは見習え。
でもやっぱエミちゃんが俺の事考えながら選んでくれたってだけで嬉しい!
「何か鍵見つけただけなのに悪いなあ、俺もお礼したいなあ」
「だったらまた次も会って下さい!私、音子さんに会えるだけで嬉しいです!」
「わあ!俺も嬉しい!」
もしやこれは恋の始まり!?
胸キュンが止まらないぜ!
でも…俺は転生犬だ…
寿命も人間より短い
死んだら次会えないかも知れない。
でも人間に戻れたら…
記憶が残っていたら…
エミちゃんを探し出せるかも知れない。
やっぱり人間に戻らなきゃ!
そう決意した。
「それじゃ、俺は行かなきゃだから、また次の満月にね!」
「はい!楽しみに待ちます!」
決意を新たに満月集会に向かった。




