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吾輩はウサギである。
名前はまだ無い。
現在小学校で飼われている。
「ほーら!給食で出たチーズだぞ!俺嫌いだからお前にやる!有り難く思えよ!」
ガキの残飯処理相手になっている。
俺はこんなに可愛いのに、もっときゃーきゃー可愛がれ。
俺…と言う通りオスだ。
見た目こんなにキュートだが。
因みにウサギは草食動物だから乳製品を消化する酵素を持ち合わせていない。
チーズなんて食っちゃいけない。
まだ美少女なら許せるが男のガキには興味は無い。
ちゃんと勉強しろ。クソガキ。
野菜を持って来やがれ。
実は俺は元人間だ。
病室で女に刺されて死んだ。
と思ったら最後の記憶が残ったまま動物になっていた。
まあ、今流行りの転生って奴だ。
異世界ではないが。
気付いたらこの檻の中に居た。
自分がウサギの姿でパニックになったが人間の判断は残っていたので、ああ、これは転生って奴だなって割とすんなり受け入れた。
まあ巷で流行ってたお陰だな。
死んだ時からの前の記憶が無いのでどんな人間だったかは分からない。
まあ、刺される位だからロクな人間では無いんだろう。
学校の檻の中と少々不便だが、周りにメスが沢山いてハーレム状態だ。
ウサギはまあ、年中繁殖することが可能で多産で繁殖力が高い動物である。
年中生殖行為が可能である。
この辺りは人間に近いのかも知れない。
まあ、ぶっちゃければヤりまくりって訳だ。
人間の頃の記憶は無いが、多分俺はエロくて性欲が強かったんだろう。
ウサギはプレイボーイのキャラクターになってる位だからな。
精力絶倫だ。
多分このウサギっ娘のどの子かは妊娠してるかも知れないな。
まあ、そんな感じで種付けライフを楽しんでいた訳だが、ある時気づいてしまった。
満月の夜、光を浴びると人間の姿になる事を。
俺以外のウサギは変身しなかったから転生した奴だけが変身するみたいだ。
見た目で大体こんな奴かって分かる。
因みに俺は大体20代の大学生とかだったんだろうと分かった。
しかし、ただの人間の姿では無い。
服装は入院患者の格好でうさ耳と可愛い尻尾が付いている。
これメスだとかなりそそられたろうに、男だとなんか残念な姿だ。
ある時、俺の元に知らない男…か女か分からない、足が三本ある奴がやって来た。
髪は長く黒髪、全身も真っ黒で不気味な奴だ。
爪まで黒く塗っている。
余程黒が好きなんだろう。
ビジュアル系バンドでもしてたんだろうか?
「あーあ、折角人間に戻れたのにさっさと舞い戻って来ちゃって…」
そう言って来た。
何言ってるんだろう?
俺は1度人間に戻った?
また動物に戻って来た?
死ぬ直前の記憶しか無いから分からない。
「また人間に戻りたい?」
「うーん、俺刺されて死んだみたいだから…戻りたくはないかなあ。今の生活は気楽で楽しいし…」
「そう。じゃあ、出戻りくんに特別に忠告してあげる。」
「?」
「転生の寿命はね、殺めた相手の寿命に比例してるからね。相手の寿命が短かった程転生スパンは短いからね」
何言ってるんだろう…
意味が分からん。
まあ見た目もイカれてるし頭がおかしいのも仕方ないか。
「君があと何回転生するかは教えられないけど、まあせいぜい最後の魂を満喫してね」
そう言ってビジュアルバンドボーカル男か女か分からない奴はカラスの姿になって飛び去って行った。
カラスだったんだな。
そんなやり取りをした次の日の放課後。
夕暮れ時に小学生の男の子が檻に入って来た。
大人しそうで可愛らしい見た目だったので大事にしてくれそうだった。
野菜でも持って来てくれたのかと思って尻尾フリフリ耳ぴょこぴょこさせつつ可愛こぶりっ子して近いた。
「中身どうなってるんだろう…」
とその子が呟いたのを最後に俺の腹は刃物で切り開かれていた。
オーメン
今回は流行りに乗っかって転生ものにチャレンジしてみました。
が、私が書くと結局こんな感じになるみたいです…
オーメン…
今回は遂にあの隼人のその後を書きました。
「幸せを知らなかった少女は…」の話を書き終えた時にはまだ、隼人は結果どうなったか決めてませんでしたが、こんな感じになったみたいです。
もしかしたらワンチャン生還するかもですが、今の所帰る気無さそうですね、隼人…
まあ新たに転生先で出会いがあって気が変わるかも知れませんね。惚れっぽそうだし。
「当ての馬道」の謙人は優良物件だった事が判明いたしました。この先活躍出来るかな?
個人的にはゴン太の話がいつかは書きたいなと思っています。
やっぱり時代劇が好きなので…
その他のキャラもまたいつか何かで絡むかも知れません。
それでは、今回は結局ダークファンタジーになってしまいましたが、ここまでお読み下さり有難うございました!