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君の名を

「はい、ゴン太くんママ、出来ましたよ〜!チビゴン太2号。」


「わあ!櫻子さん、有難う!今回もとってもソックリ〜!可愛い〜!」


「うふふ、有難うございます」


「音子ちゃん2号も出来たかしら?見たいわあ!」


「それが…出来上がったんですが…こないだまで1号の側にあったんだけど、どっか行っちゃって…亘が誰かにあげちゃったのかしら?」


「あらあら、亘くんもお年頃ねえ…うふふ」


「うーん、ぬいぐるみ貰って喜ぶ男の子っているのかなあ?」


「?」


「まあ、また夏毛に変わる時に作ります。1号はまだ手元にあるし。これは持ってかない様に言わないと。処女作だからね」


「また是非次もお願いしたいわ!いつか来るゴン太のお別れにも近くにチビゴン太がいれば乗り越えられると思うの。」


「そうですねえ。ワンちゃんとはいつかお別れは避けられませんからねえ。私もいつかその日が来たらチビ音子見ながら泣いちゃうなあ」


「もう私達にとっては家族ですものね。」


「そうですねえ。」






「お前、どっからそれ拾って来た?」


「ガウガウ、バウバウ」


「分かった分かった、取らねえよ!おまえの唾液だらけで触りたくもねえ!」


「ウー」


「ずっと噛んでんなあ、その骨のおもちゃ。よっぽど気に入ってんだな。無くした人から訴えられなきゃ良いけど…人前で見せるなよ、こえーから。」


「バウっ!」







「あっ!音子さん!」


「エミちゃん!会いたかった〜!」


「私も待ち遠しかったです〜!」



そう言ってエミちゃんは俺の尻尾をモフモフ触っていた。


本来尻尾に触られるのは不愉快極まりないが、エミちゃんだと愛されてる〜!って嬉しくなっちゃう!



今日は…俺は男をキメるぜ!

決意してこの満月の夜を待ちわびていた。



「エミちゃん…今日は大事な話があるんだ…人に見つかりたくないから…ちょっとあっちに移動しても良い?」


「なあに?良いよ」



そう言ってエミちゃんを連れて近くで建設中の建物の仮囲いの中に入った。



「俺ね、実は元人間でね、死にかけてて、動物に転生してるの。満月の夜だけ元の姿に戻れるの。でも耳や尻尾はついたままなんだけど…」


「そうなんだ!耳も尻尾も作り物に見えないから…信じるよ!」


「有難う!でね、今は人間に戻りたいなって思ってるんだ。」


「そうなんだ!出来るの?」


「うん。前の満月の時に戻り方を教えて貰ったの」


「へえ!」


「人間に戻るとね、動物の時の記憶は無くなるの。でもエミちゃん達みたいに俺に会ってる人は俺の事は忘れないの」


「えっ!そんな…音子さんは私の事忘れちゃうの?寂しいなあ…折角出会えたのに…」


「うん。でもね、忘れたく無いんだ。俺、エミちゃんの事好きだから」


「ホント!私も音子さんの事好き!」


「わあ!嬉しい!」


「どうやって、人間に戻るの?」


「それはね…俺が愛する人に、この姿の時の俺を愛して貰えると戻れるんだって…」


「そうなの!?」




「うん。俺はエミちゃんが好き…愛してる…エミちゃんは俺の事…どう思う?」


「私も音子さんが好き!愛してるよ!」


「ホント!?」


「うん!」


「これね…俺の抜け毛で出来たぬいぐるみなんだ…エミちゃんに貰って欲しい」


「わあ!可愛い!ソックリ!大事にする!」


「俺もエミちゃんから貰ったキーホルダー、大事にする。人間に戻っても絶対エミちゃんを思い出す。エミちゃんを見つけ出す!」


「うん。このぬいぐるみが目印だね…」


「うん。このキーホルダーも目印だよ…」


「私も絶対に音子さんを見つけ出す…」


「エミちゃん…好きだよ…愛してる…」


「私も…」






俺はそう言ってエミちゃんにキスをした。




絶対にエミちゃんを忘れない…


エミちゃんを思い出す…


エミちゃんを見つけ出す…


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