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吾輩は犬である

マスター…

吾輩は犬である。

芝犬である。


名前はもう有る。


ネコだ。


漢字で音子。


このイカれた名前を付けたのは俺を保護施設から引き取った里親の櫻子と言う女だ。


俺…と言う通りオスだ。

オスと知りつつ、子と付けるあたりやっぱりイカれてる。


「鳴き声が楽器の音みたい…可愛い。音の子ね。」


が、理由らしいが俺の鳴き声は普通にキャンキャンだ。耳までイカれてやがる。


せめて振り仮名は「オトコ」で良いだろう。男なだけに。



この家には他に櫻子の夫の謙と息子の亘がいる。


謙は顔が鬼みたいに地獄だが、俺を溺愛していて、何かと抱き抱えたりチューしてくる。

やめてくれ。


亘はまだ小学生だが本当に可愛げがない。

俺を散歩に連れて行くのも親が小遣いかお菓子を与えないと行かない。


まだ美少女ならツンも可愛いが男のガキには興味ない。


この家は変な奴ばっかりだ。





実は俺は元人間だ。

事故ではねられて死んだ。

と思ったら最後の記憶が残ったまま動物になっていた。


まあ、今流行りの転生って奴だ。

異世界ではないが。



事故の前の記憶が無いのでどんな人間だったかは分からない。

ライトに照らされて轢かれる所しか記憶にない。


なので本当は事故かそれとも自殺だったかも分からないが、自殺する様なウジウジした奴だったと思いたく無いので、勝手に事故と判断している。





実は今まで何度か転生している。


最初は文鳥だった。


気付いたらペットショップにいた。

自分が鳥の姿でパニックになったが人間の判断は残っていたので、ああ、これは転生って奴だなって割とすんなり受け入れた。


まあ巷で流行ってたお陰だな。

鳥なら空も飛べるしラッキーだと思ったが、所詮は籠の鳥だ。


しかも餌がなんかゴミみたいで貧相だ。

味も全くしない。

虫とかは食べたくは無いのでまあマシかと我慢していた。


ペットショップならその内買い上げられるだろうから、そこで隙を見て逃げ出す算段をして虎視眈々とその時を待っていた。



そうしている内に無事に買い上げられた。

優しそうな人で安心していた。

子供の情操教育用らしく、小学生の男の子が飼い主となった。


この子も大人しそうで可愛らしい見た目だったので大事にしてくれそうだった。

まあ暫くは大人しく飼われてやろうかと思っていた。




飼われた次の日にその子が




「中身どうなってるんだろう…」




と呟いたのを最後に俺の腹は刃物で切り開かれてそのまま俺は息耐えた。


まさか1日で終わるとは…

予想外すぎた。

人間見た目に騙されてはいけないと学習した。





そして気付いたら俺は金魚になってまたペットショップにいた。


今度は鳴き声は出せないがまあ、エラ呼吸でいつまでも泳げる事は良いなって思っていた。

相変わらず餌は不味いが…



そしてその内買い上げられた先は…




「中身どうなってるんだろう…」




またお前か…

悪魔の子…

エコエコアザラク…


俺の腹は再び切り開かれて息耐えた。




そしてまた気がつくと今度は野良猫になっていた。

今度こそ寿命を全うしたい。

もう餌に文句は言わない。


そう思って歩いていたら網で捉えられた。


保護施設行きかな?と思っていたら…




「中身どうなってるんだろう…」




ブルータス、またお前か…

もう3度目ともなるとこの先の展開は読めている。


さあ、やってくれ…

暴れもせずに大人しくM字開脚で迎え入れてやった。





そして4度目の転生。

今度は保護施設で芝犬だった。


またあの悪魔が来たりて腹を裂くのかと思っていたらこの櫻子に引き取られて今に至る。


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