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EX 一人欠けた帰還

zukkiです。今回長いです。

<エルランドル王国>

ー葵視点ー


「「「......」」」


薫が居なくなってからずっと私、結衣、鈴は下に俯いて何も話さず、喪失感に満ち、まるで通夜のようになっていた。


輝人と聡は、


「いつまでもこのままだと薫が悲しむぞ、元気にいこう!」

「薫が悲しまんように元気だそうぜ!」


と私達を励ましてくれている。とてもありがたい。


それでも、一番心配なのは結衣。薫が黒球に飲み込まれ扉が閉まった後、結衣は


「私が助ける!絶対!」


と、扉を開けようとしてセルロイド団長に止められた。止められると座り込んで扉の前から絶対に動こうとしなかった。

今も一番落ち込んでいるのは結衣。


セルロイド団長によると骸骨帝王の黒球に飲まれた者が過去に数名いたそうだが、生還者はおらず、そのため、黒球に飲まれたらもう、すなわち死である、ということだ。


セルロイド団長はものすごく焦っている様子だった。


エルランドル王国に帰還し、セルロイド団長が国王と教会報告しに行く。


勇者が一人、黒球に飲まれた。生死は不明。

国王、ステタトラル含めた貴族達は最初その報告を聞いた時これまでにない程動揺していたが、その勇者が”無能”の薫であったことを知ると少し安堵した表情となった。


しかし、薫とは他の勇者と同等の扱いをするという約束があったらしい。薫の死亡は確定であったが捜索隊が組まれ、私と結衣と鈴と聡と輝人の5人もダンジョン内を徹底的に調べた。当然、薫は見つかるはずもなく。7日後に薫は死亡とし、捜索隊は解散する事が国王から告げられた。


「お願いします!あともう少しだけ時間をください!」


と、結衣はもう少し期間を伸ばして欲しいと懇願したが、"無能"に、ましてやこの死亡確定の状態で、その願いが聞き入れられることはなかった。


"無能"であっても勇者の一行の一人、クラスメイトの一人が死んだことに変わりない。


しかし、一部の貴族、クラスメイトは、召喚者の癖に役立ずだったあいつは死んでも同然だとか、もう足を引っ張る奴は居ないだとか、コソコソと陰口を叩く。思わず手が出そうになったが、死人を貶すというのが許せなかった輝人とセルロイド団長が止めに入るまで誹謗中傷が止まらなかった。

その後も、薫は言われたい放題だった。


勇者を貶す。それを問題視した国王とステタトラルが薫についてこれ以上公の場で触れることを禁止した。


一方、薫の捜索に参加した私達5人は

『無能を見捨てず最後まで諦めなかった優しい心の持ち主』

というのが一気に広まり、結局、私たちの株が上がっただけで、薫が勇者一行の無能で役立ず、真っ先に死んだならず者というレッテルを貼られた。


その後クラスメイトで話す機会があった。

あの時、いくつか魔法が薫に直撃したように見えたが、迎撃のために全員が魔法を撃っていたために当時の状況がハッキリとしなかった。

最終的に、薫のステータスが低すぎた故に逃げるのが遅れ、そのせいで飲み込まれて死んだ自業自得ということになった。


その日の夜、結衣と鈴が私の部屋に来た。


「急にごめんね葵、なかなか寝れなくて」

「...私も」

「うん、全然いいよ、どうぞ」


2人を部屋に入れ紅茶を出す。全員、一口飲んで少し落ち着いてから私は口を開く。


「結衣、薫のこと?」

「うん...」


「ねぇ、葵、薫くんは生きてるよね?どこかに隠れてるのかな、また、図書館で勉強してるのかな、私、やっぱ探して来るね」

「結衣、違うよ」


立ち上がろうとする結衣を抑える

あの日から結衣は元気がない。そこまで薫に強い思い入れがあるなんて、

でも、結衣にも前を向いて貰わないと、しっかり現実を見て貰わないと、


「そんなことないよね、絶対、絶対生きてるよね」

「結衣、分かってるでしょ、あの日のこと、そして今日のこと」

「いや、そんなことない、薫くんは死んでなんかない!」

「結衣!薫は死んだの!」

「ちがう、やめて...やめてよ!私は信じない!薫くんは生きてるの!そんな酷いこと言わないでよ!」


目に大粒の涙を浮かべながらなんとか葵の拘束を解こうとする結衣。

そんな結衣を葵は包み込むように抱き締める。


葵と結衣は昔から交流があった。


幼い頃に同じ剣道の道場で知り合い、そこから2人仲良く過ごしてきた。


そんな昔からの親友の傷ついた心を癒すように私はもう一度抱き締め直す。結衣は「うぅ...葵...」と泣きじゃくっている。


ドンッと背中に重みが加わる。鈴だった。でも様子がおかしい。その次の瞬間


「...っ...うぇぇぇぇんっ、薫ぅぅ...っ..なんでぇ..私、私っ、」


あの孤高の白きお嬢様、鈴が号泣した。鈴にも薫に思うことがあったのだろう。


この状態のまましばらく二人を慰めた。


「ねぇ、葵、私ね薫くんは生きてるって信じたい」

「結衣それは」

「分かってるよ、黒球に飲まれたら死んだのと同じだって、でもね、前例がないだけでまだ生きてる可能性だってある。薫くんなら生きて帰って来れるって、そう思うの」

「だからね、私、もっと強くなりたい。今度は誰も失わないように、薫くんを助けられるぐらいに強くなる」

「...私も同じ、薫、守れるようになる」

「結衣、鈴...」


2人の声に確かな決意が孕んでた。もう迷いはないようだ。


「よし、じゃあ私も手伝うよ!」

「「葵!」」


2人が抱きつく、頼りになる"葵お姉様"、まさにクールビューティが似合う。


バタン!と部屋の扉が開いた。輝人だ


「葵、今から自主練をするんだがど....う....だ」


輝人が3秒間フリーズする。それもそのはず、彼女らは今3人で抱き合っていて、傍から見るとまさに美しすぎる百合が咲き乱れていた。


「失礼しました!」


扉が物凄い勢いで閉まる。

3人は何が起きたか理解出来ずその場で固まっていた。


後日「あの女神様達が愛し合っている」というのがクラスメイト内で広まり尊死する女子や興奮しすぎて鼻血を吹き出す男子が大量に発生するのはまた別の話。

毎度お読み頂きありがとうございます。嬉しすぎて嬉しすぎて飛びます(?)

いつもより長くなりました。話が色々飛躍してるかもしれませんが暖かい目で見てもらえると幸いです。

次回は薫視点に戻ります。

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