第3話 賢狼
機内に警報音がなり響く…
「右翼エンジン損傷!! 機体制御できません!」
操縦士から悲痛の叫びが聞こえてくる。
このままでは、墜落してしまう…そう考えていた時だ
機体の揺れが収まり、ゆっくりと降下し始め やがて地面に着陸する。
「助かった、ありがとう獅堂。」
「これくらい、朝飯前です 隊長。」
咄嗟に獅堂が風系統魔術を展開したおかけで、墜落せずに済んだ。
だが ここでゆっくりしている暇はない、ヘリの周りにはおびただしい数の狼型魔獣が集まってきていた。
「遠山・久原・広瀬は操縦士の護衛を!! 獅堂は、あのデカブツを頼めるか?」
「お安い御用です。」
機体から出た俺達の前に、一際大きい魔獣が姿を見せる。あれが大狼で間違いないだろう。 さらにその背後から、大狼の倍以上の大きさの魔獣が獲物を見定めるかのようにこちらを見てくる。
恐らくあいつが賢狼だろう…体格の大きさだけではなく 魔力量も他の魔獣とは比べ物にならない程だ。
「隊長お気をつけて、心配ご無用だと思いますが…」
そう言って獅堂は大狼に斬りかかってゆく。
そして俺は、目の前の賢狼に目を向ける。 あいにく今は相棒の刀を持っていない…この前の戦闘で、刃こぼれをした為研ぎ直して貰っている。
手元にあるのは、小刀が1振りとリボルバー式の銃が1丁そして無数の呪符だ。
十六夜家は代々呪術師の家系、特に呪符の扱いには長けている。
現状この装備で、賢狼と戦うには心もとないだろうが、とやかく考えている暇はない。
すると賢狼が立ち上がり片腕を振るう 鋭い爪から放たれた斬撃のような風が 紅葉を襲う。
その風を避けつつ、賢狼との間合いを詰めてゆく…
至近距離で攻撃を仕掛けない限り、こちらに勝機はない。手に持っていた呪符を、賢狼の頭付近に目掛けて投げ 術式を発動する、すると眩い程の光と耳をつんざく様な音が当たり一帯に広がる。
怯む賢狼を見つつ、至近距離に近づいた紅葉は賢狼の目に銃弾を叩き込み、賢狼の目をに撃ち抜く事に成功する。
だが、油断してはならない… このクラスの魔獣になると目を撃ち抜いても1分足らずで回復してしまう… 一息置かずに小刀で、賢狼の体を無数に切りつけてゆく。
もちろんこの程度の傷では、賢狼に大したダメージを負わせることは出来ない…だが間髪入れずに攻撃し続ける事によって、賢狼の回復力を落とす事ができる。
ひたすら攻撃を続けていたその時だ!!
賢狼が紅葉に向かって腕を振り下ろす…
(しまった…)
咄嗟に避けようとするが避けきれず、そのまま吹き飛ばされる。
※捕捉
魔術の種類は大きく分けて4つに分類される。
基本5系統魔術
炎 風 氷 雷 土
特殊系統魔術
光 闇
無系統魔術
衝撃 振動 爆裂 閃光 音響 など多数
補助系統魔術
治癒 身体強化など