第1話 魔術師のお仕事
けたたましく鳴る警報に叩き起される、瞬時に体は覚醒し 上官からの指示を待つ。
「寒風山付近にて、小型魔獣の群れを偵察部隊が確認 狼型魔獣と思われる。
第3・5・11部隊は至急現地に急行 繰り返す…」
命令を聞きながら、素早く身支度をすませ部屋を出る。
「十六夜隊長、各員既に準備完了しております!」
「了解! 獅堂」
目の前に立つ壮年の男性に返答する。 彼は獅堂 源 第5小隊副部隊長にして、准1級魔術師 頼れる部下でありながら 実戦経験豊富な兄貴分でもある。
そのまま、ヘリポートに移動し 直ぐさま乗り込む。
ここから、現地までは5分はかかる。
「現在 第2・8部隊が現地にて交戦中 敵は中規模の魔獣群だと推定 現地到達後速やかに排除するように」
俺たちが所属しているのは (国防魔装軍 第六師団 高知分隊) 対魔獣に特化した 魔術師で構成された特殊部隊だ。
第1~11部隊に分かれており、主に奇数部隊が主力 偶数部隊が支援及び偵察の用途に分担されている。 奇数部隊長には、支部最高戦力の第1級魔術師が任命されるのが基本だ。
第1部隊は支部周辺に常駐している為、高知市以外は主に第3・5・7・11部隊で対象する事になる。
そして俺は十六夜 紅葉、第5部隊 部隊長である。
そんな中続報が入る。
「緊急事態発生!現地部隊より 大狼と見られる魔獣を確認 その数2体 繰り返す…」
その瞬間 機内に緊張が走る。
「まずいな、相手が大狼となると現地戦力だけでは対処出来ない」
そう呟くのは、獅堂だ。
大狼を有する狼の群れは、通常よりも統制が取れ格段に厄介さが増す…安全に対処するには、准1級相当の魔術師3人程必要だ。
だが、現状 准1級魔術師は第2・8部隊長の2名のみだ。
「隊長!! 大狼が2体もいるとすれば、賢狼がいる可能性がかなり高いかと。」
「そうだな、その可能性は十分あるだろう。各員気を引き締めるように!」
そう進言してきたのは遠山だ。遠山はこの部隊には欠かせない腕利きのスナイパーだ。 その上、魔獣についてかなりの知識を備えている。
彼の言う通り、賢狼がいる可能性は極めて高い。
通常群れのリーダーは大狼1体だ。それが複数体存在する場合、その上に賢狼がいる事が多く確認されている。
そして、賢狼が統率する群れは 非常に連携力が高く、知能も通常個体に対して遥かに増加する。
その上、賢狼はかなり強い 1級魔術師 3人以上でようやく討伐出来ると程だ。
そう考えているうちに前方に黒煙が見て取れた。
「各員 戦闘態勢 間もなく到着する、降下準備にかかれ 」
機体が止まり、降下態勢に入ろうとした時
ドゴン!!
激しい衝撃を受け、機体がバランスを崩す…
補足
※ ヘリ 風系統魔術を推進力に使う事により 亜音速での飛行が可能となっている。
※ 階級
上から
国家級 1国家の最高戦力 日本には3名が在籍
准国家級 国家級には至らないものの、1級よりも秀 でた能力を持つ者(関西・関東本部所属魔 術師に限る) 日本で21名在籍
1級 45道府県に配置されている支部の中での 最高戦力 高知支部には 5名 在籍
准1級 1級に次ぐ能力を次ぐ者 高知支部には、 15名在籍
2級
3級
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