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19 アース遺跡群の探索②

俺たちはアース遺跡の地下2階層へと降りた。


これまで地下1階層で遭遇していたモンスターの気配は、ここにはなかった。


「たしかそこに小部屋がある。入り口を瓦礫で塞げば今晩の寝床にできるはずだ」


魔法時計によると、時間は22時を過ぎたくらい。

外はとっくに暗くなっている頃だろう。


初日にしては、少し無理して進みすぎたかもしれない。


俺たちは、たいまつのあかりを頼りに進み。

その小部屋へと入った。


「!」


ロロイが息を呑んで身構えた。


先客がいる。


「あー、それ。2年前にきた時にもあったから気にすんな」


白骨化した。冒険者だか夜盗だかの遺体だ。

それも3体。


迷い込んで果てたというよりも。ここを根城にしていて、何らかの別の原因で1人ずつ力尽きたという感じだろう。


3体とも並んで横たわっている。

前に来た時。1人だけ離れて倒れていた3体目を、フィーナがもう2体の隣に移動させていた。

そしてそれらは、その時と同じ格好のままそこに横たわっていた。


危険がないとわかり。

ロロイは、その遺体たちに手を合わせてお辞儀をしていた。


クリスは、少し気分が悪くなってしまったようだ。 


バージェスは。まぁ、見慣れているのだろう。

全く気にせずに野営の準備に入っていた。



倉庫取出デロス

俺はそう唱えてスキルを発動した。


その辺に落ちていた瓦礫をいったん倉庫に収納した後、小部屋の入り口前に向けてガラガラと取り出す。

そして、簡易の防護柵を作ったのだ。


「ほぉぉ、便利だな。倉庫スキル」


「ロロイの倉庫には、あんなに沢山の瓦礫は入らないのです。倉庫スキルというより、便利なのはアルバスなのです」


「なんだか、絶妙に引っかかる言い回しだなそれ。あと、人力で移動させられないようなものは、俺の倉庫にも入れられないぞ」


いろいろ試したことがあるが、そう言うものらしい。

瓦礫だと、普通の男2、3人で持ち上げられるくらいのサイズくらいのものが限界。

それ以上は、たぶん「アイテム」の定義から外れるのだろう。


何はともあれ。

これでひとまず、ここは安全だ。



その後、狭い部屋でロロイがモジモジし始めたので、部屋の隅に岩のツイタテ付きの簡易トイレスペースを作ってやった。


ちなみに。

布の入った、蓋付きの壺だ。

少し高くなる足場なんかも付けてある。


「アルバスは便利なのです!」


「はいはい……」


バージェスは眉間に皺を寄せて真面目に変な顔をしながら、聞き耳らしきものを立てていた。


…変態は放っておこう。


それから調理道具を取り出して。夕食は鍋にすることにした。



「ふぉぉぉーー! 何ですかこれ! モーモー肉の、新たなる進化形態なのです!!」


鍋はロロイに、めちゃめちゃ好評だった。


「たしかに、美味いなこれ」


クリスにも誉められた。


「だろ?」


そしてなぜか、バージェスが得意げだった。


「俺の雇った。『荷物持ち』兼『ガイド』兼『料理人』の、アルバスだ!」


まぁ、そういう話なら仕方ない。

料理人の分も、費用を上乗せして請求してやろうかな。


その日は、初日の疲れもあって。

夕食をとったのち、皆すぐに眠りについた。



→→→→→



寝具の中で、俺は思案していた。


遺跡探索トレジャーハントの初日は、かなり順調に進むことができた。


この調子ならばおそらく、明日には地下3階層への入り口にまで辿り着けるだろう。


3階層と4階層は、侵入者を阻む迷宮だ。


3階層と4階層の攻略には、おそらく最低でも4日はかかる。


そして迷宮を抜けた先。

その下の地下5階層が、目的の古代地下都市だ。


そこにはアーティファクト『無尽太陽オメガ・サン』がある。


遺物の探索をするのであれば、5階層が最適だろう。


3階層と4階層にも、探せば色々ありそうだったが。迷宮だけに色々と面倒な罠があったと記憶している。


頭の中に、ライアン達とたどった道のりを思い返し。

少しばかりの懐かしさを感じながら、俺は眠りについた。



→→→→→



アース遺跡群潜行は、2日目も順調だった。


モンスターの数は、思ったほど多くないし。

道順も、俺の記憶している通りのままだった。


そりゃあまぁ、2000年前の遺跡がたった2年で大きく変わってしまうはずもない。


「そこの細道を越えると、大きな部屋に出る。その部屋には奥に2つの道が続いていて…左が正解だ」


先行するバージェスに声をかけ、道順を指示する。


そして俺たちはその日のうちに…

地下3階層への入り口がある、アース遺跡群第2階層最奥の大広間へと辿り着いた。


だが。


そこには先客がいた。


「大商人ノッポイの部隊……か」


物陰に身を隠しながら、俺は思わずそう呟いた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >あと、人力で移動させられないようなものは、俺の倉庫にも入れられないぞ ケージ入れてたじゃん
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