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04 ありふれた天賦スキル

唐突だが。この世界にはスキルというものが存在する。


さらに唐突だが。

スキルは「天賦てんぶスキル」と「習得スキル」とに分けられる。


天賦てんぶスキルは、生まれつきのもの。

習得スキルは、後天的に習得可能なものだ。


習得スキルは修行や努力によって習得するため、ある程度自分で選ぶことができるが、天賦てんぶスキルは生まれつきのものだ。


よって、この世界の人間が自分のいく先を考える際には。まずこの天賦スキルの判別が重要になる。


例えば、勇者ライアンは天賦スキル『神の目』を持っており、さらに習得スキル『神速』を手に入れていた。


相手モンスターの弱点を瞬時に見抜く『神の目』と、それを的確に攻撃するための超速の移動術『神速』。

その力でライアンは、モンスターに対して無類の戦闘力を発揮し、ついには国王から『勇者』の称号を名乗ることを許されるに至った。


他には…

常人の2倍のパワーを発揮する『剛力』の天賦スキルを持つものは、戦士職や武闘家職に向いている。冒険者となって魔物の討伐をしたり、商隊の護衛をしたりする仕事に就くことが多い。

他には、魔術発動の際の消費魔力が半減する『消費魔力半減』の天賦スキルを持つ者は魔術師に向いている。魔術都市などで、魔術の研究者になることが多い。

戦闘職以外では、作成した装備の性能が1段階上がるという『工芸』の天賦スキルを持つ者は、装備鍛冶になるのが良いとされていて、実際そうなることが多い。


ただし、どれだけ強力な天賦スキルを持っていたとしても、最終的には本人の努力と才能がものを言う。


パワーがあっても格闘や剣術のセンスが無ければ、冒険者には向かない。力だけでは戦えない。

いかに魔力消費が少なく魔法を連発できる天賦スキルがあっても…そもそも魔術を習得できなければ何の意味もない。


そして大体の人間は、そもそも天賦スキルを持っていない。

また、例え天賦スキルを持って生まれたとしても、ものによっては『他人よりちょっと有利』な位の場合も多い。

そのため、本人の希望で、天賦スキルとは全く関係のない職業や仕事につくことも珍しくない。


そんな中で、この俺は、

勇者のパーティで、ある意味で天職とも言える役割を与えられていた。


俺の天賦スキルは『倉庫』


異次元領域のインベントリーに、この世界の物質を保管しておくことができる能力だ。


たまたま実家を飛び出して、たまたま冒険者ギルドをうろついていた時。

たまたまパーティを結成したばかりのライアン達と出会い…

たまたま、パーティに加わった。


それから15年間。

ライアン達と旅をする中で、いろいろな武術やいろいろな武器を試したが、どれもいまいち。

どれだけやっても…俺は弱かった。


気づけば、戦闘中はひたすらに支援アイテムを取り出すばかりの生活。

なので、前衛はライアンやその妻達に全任せ。


そう…、勇者パーティでの俺の役割は…。


荷物持ちだった。




ちなみにこの俺の天賦スキル『倉庫』は特に珍しいスキルではない。

しかも他の天賦スキルと併発することも多い。


新しく、勇者ライアンのパーティに加入した踊り子ミリリは『魅力付与』という、自分と自分の周囲の人間の魅力度をアップさせる獲得スキルを手にしていた。

そのため、これから王都に凱旋するライアンに見初められたのだ。


ライアンは魔王討伐という功績と、第十三皇女フィーナの夫というステータスとで、いずれこの国の国政に関わろうとしていた。

ミリリの『魅力付与』はそのために重要なスキルだとのことだ。


そして、そのミリリが天賦スキル『倉庫』を持っていたので…


ついでに、俺は解雇されることになったらしい。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] あえて「天賦」を「てんぷ」ではなく「てんぶ」と読ませるためにルビをふっているのですか?それともただの間違いですか?
[一言] 2話で、アウル・ノスタルシア皇国の第十三王女にして、支援術師の能力を持つ魔術師だ。 とあるけど、今回は第十王女となってる。どっちが正しいのかな?
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