03 ありふれた追放③
「ライアン。俺たちは、友ではなかったのか!?」
それっぽい言葉を吐く俺を、椅子に腰掛けたライアンが一瞥した。
その目は氷のように冷たい。
俺は、その目を知っている。
勇者ライアンが、魔物に引導を渡すときの目だ。
「お前を含め、4人で始まったこの黎明獅子団も、今では7人。それも、メンバーそれぞれ国内外にその名を轟かせている猛者ばかりだ」
ライアンは左右の妻達を見やる。
「ルシュフェルドは黒魔術の最高位、黒金の魔術師。ジオリーヌは白魔術師の最高位、聖女の称号を持つ者だ。共に作ったこのパーティで、共に成長してきた」
そこで…、ライアンは言葉を区切り…
俺を一瞥した。
言いたいことは、わかっている。
「たけど、お前は…いつまで経っても弱いままだ」
その言葉が…
ぐさりと胸につき刺さった。
そう。
俺は弱い。
もう、めちゃめちゃ弱い。
すんごい弱い。
例えば…最弱の魔物、ゴブリン相手でさえ…
一対一で苦戦するくらいに弱い。
そして、15歳で冒険者になってから…30を過ぎるこの歳まで…
必死に、どれだけ修行をしてきても弱いままだ。
だからたぶん、この先も一生、ずっと弱い。
設定としても、マジで強くなる予定はない(?)
「弱い奴は…俺のパーティにはいらん」
ついにその時が来たかという感じだ。
そんなことは、今更言われずとも、自分でも分かっていた。
「そうか…」
俺は天を仰いだ。
いつか、こんな日が来るかもしれないということを、考えていなかったわけではない。
だが…、なんだかんだ言ってここまで一緒だったライアンたちとは…
なんだかんだ言って最後まで一緒に旅をするのだと思っていた。
でも…
なんでよりによって…
このタイミング?
「魔王討伐を終えた俺たちは、これから、王都へ凱旋する」
勇者ライアンが、胸を張ってそう言った。
「お前みたいな弱っちい奴が仲間だと、王都の奴らに舐められるだろ?」
そう…、後少しで…
この旅は終わるはずだった。
魔王を倒し…
追ってくる魔物達を蹴散らし…
やっとの思いで魔界ダンジョンを抜けた。
俺たちが抜けた後…
主人である魔王を倒された魔界ダンジョンは、他の主人を失ったダンジョンと同様に消滅した。
そして、後は大陸を横断し、海を渡って王都へ戻れば、
全てが終わるはずだった。
「アルバス、悪いが君とはここまでだ。諦めてくれ」
そう言って、俺の代わりのメンバーを紹介してきた。
「俺の第六夫人、踊り子のミリリだ。これからはこいつに、お前の代わりになってもらう」
こうして俺は…
魔王討伐直後に…
勇者パーティを追放された。