17 薬師の余談
余談と言いつつ、ほぼ本筋ですw
そしてこれは余談だが…
薬草風呂の調合で何かを閃いたアルカナは。
さまざまな薬草を組み合わせることで独自効能の新薬を生み出す、薬師としての才能を目覚めさせていた。
乾燥原体に加え。
砕いて粉末状にしたり。
煮詰めてペースト状にしたり。
粉末とペーストを混ぜて、こねて丸薬状にしてみたり。
ただの薬草よりも高く売れれば、少しでも夫の行商の足しになるかもしれないと思ってやり始めてみたが。
やってみると意外と楽しくて、いつしかどハマりしていた。
そして、そのうちに。
既存の薬草品種のブレンドに限界を感じはじめ。
ついには裏山の農場を使って、新たな品種の開発などにまで手を広げ始める。
夫のために始めた趣味が高じて。
気付けばいつしかアルカナは。
魔導学院の薬科教師が、目玉を飛び出させて驚くほどにハイレベルな、調薬のプロフェッショナルとなっていた。
天賦スキル「森人の嗅覚」
スキル鑑定など受けたことのないアルカナが、無自覚のまま保有していたその最高級の天賦スキルは。植物全般の匂いを完全に嗅ぎ分ける物だった。
ゆえに、アルカナは。作った新薬の効能を、実際に使用せずとも、その匂いからほぼ判断できていた。
良い薬草と普通の薬草、効果の薄い薬草とを嗅ぎ分ける力も、無自覚に最高レベルだ。
そりゃ、アルカナブレンドの薬草風呂が大繁盛するわけだ。
ちなみに。
商人アルバスがモルト町のギルドで売っていた薬草は。
「他の店の薬草より、妙に効きがいい」
と、実は密かな評判となっていた。
そして、西の果ての特級薬師アルカナが作る各種効能の特級薬。
それは、アルバスが取り扱う数々の品の中でも、いわゆる目玉商品となっていく。
そしてその特級薬の知名度と共に。
いつしか、その2人の名も、世界中に轟くのであった。
というのは。
まだまだずぅぅぅーーーっっと先の話。
しばらくは。
「焼け焦げた痺れ取りの薬草」とか。
「薄まりすぎた血止めの薬草ペースト」とか。「火傷、痺れ、毒取りの薬草の丸薬(飲んでも効果無し)」とか。
そんな物ばかりが。謝罪の手紙と共に、たびたびアルカナ・インベントリーに入っていた。
「ごめんなさい。また失敗しちゃった。大した効果がないから売り物にはならないと思うけど。勿体無いので、何かに使ってください」
そんなのに混じって「血止め&痛み止めの薬草ペースト(特級効果)」みたいなのもあるので、助かる時はめちゃくちゃ助かる。
「アルカナの薬が、今日も俺の仲間の命を救ったよ。いつも本当に、感謝してる」
そんな『倉庫』を介した手紙のやりとりを。
俺はアルカナと、生涯を通して続けた。
ちなみにそう。これもずぅぅーーっと先の話。
現実問題。
まだまだ、俺の商人としての道は。
始まったばかりだった。
薬草農家編は、これで完全に完結です。
第3章は、なんとなく構想を練ってる段階なので。投稿できるのは1〜2週間先になるかもです。
次章で2人目の妻が登場するのかどうか、、? も、まだ未定ですw
なるべく、出たとこ勝負は避けて。ちゃんとひと段落つくところまで仕上げてから投稿する予定なので。少しお時間いただくかもしれないです。
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