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05 ウルルフェスの討伐

バージェスがヤック村へ走り去っていった後。


俺は、夫婦で旅をしている冒険者。

旦那の戦士、アークと、妻の支援術師、リオラのペアパーティに。ガイド兼、荷物持ちとして同行することになった。


ちなみに。

この周辺に不慣れな夫妻の方から、俺にガイドを依頼してきた。


この2人とは、数日前に一度同行している。


旦那の剣士はかなりの使い手だ。

確実な実力のある相手との同行は、こちらとしても願ったりだったので快諾した。


『【初級】アルス森林のウルフェス退治×30体」

『【初級】ウルフェスの毛皮×10枚の納品』

『【中級】アルス森林のウルルフェスの討伐』


2人はその3枚の依頼書をとり、同時に手続きした。


俺の役目は、ガイドとして2人にアルス森林内部を案内し。痕跡を見つけてウルルフェスの居場所を探り当てることだ。


そして、アークが討伐したウルフェスや。ウルフェスの上位互換種、ウルルフェスの亡骸を片っ端から「倉庫」に収納していくことだ。



そして…。


2人は危なげなく依頼をこなし。

まだ明るいうちに、ギルドへと帰還した。



→→→→→



「追加の報酬を払うので、ユニークポイントの剥ぎ取りも。手伝ってもらって良いですか?」


20代の夫妻は、こんな俺にも敬語を使ってくれる。


冒険者なんて、年齢など関係ないような言葉を使うものも多い。


俺もそうだ。


たぶんこの2人は育ちがいいのだろう。


ちなみに『ユニークポイント』というのは、そのモンスター特有の特徴的な部分のことだ。

討伐の証として、ギルドに提出する。


ウルフェスのユニークポイントは、その一角ツノ。

武器の素材にもなるので、少し価値が高い。


ちなみに、検品が済んだら返却してもらえる。


たまに、素材として購入したモンスターのユニークポイントを、討伐の証として持ってきてギルド職員を騙そうとする奴がいるので。

ギルドにて、簡単に素材の状態を確認するのだ。


「〇〇ギルド検品済み」の証明が刻印されるので、売るときも売りやすくなる。



ギルド裏の空き地にて。

俺はウルフェスの亡骸を34体と、ウルルフェスの亡骸を1体。「倉庫」から取り出した。

そしてその亡骸から、ツノと皮を切り外す作業をひたすら手伝った。


「毛皮は、依頼の達成に必要な10枚だけで良いです。残りの毛皮は差し上げます」


「あざす!」

儲け!


「ウルフェスの残りの部分の骨や肉も、良ければ差し上げます」


「あ…ざす…」

ウルフェスの肉は人間の舌に合わなくて食用できないから、それは微妙。

骨には、一応素材としての価値がそこそこある。が、取り出すのが結構面倒だから費用対効果は合っていない。


「ユニークポイントさえ取れれば。ウルルフェスの毛皮も、我々には必要ないので、よろしければ差し上げます」


「あざーーーっっっす!!!」

マジかっ!? 中級モンスターの毛皮。

それは超絶大儲けだ!


さらに夫妻は、ガイドと荷物持ち、そして素材剥ぎ取り手伝いの報酬として、合わせて1,500マナを払ってくれた。

初めの交渉から、さらに色がついている。


かなりの数の素材も手に入ったし、今日はなかなか儲かった日だった。



→→→→→



俺が、夫妻と別れてギルドの建物に戻ると。

バージェスが床にぶっ倒れていた。


その脇には、本日の報酬300マナが転がっている。


「ど…どーしたんだ!?」


聞くと…


「薬草農家…。作業……、ヤバし……」


との、ダイイングメッセージを残して事切れた(寝た)。


「バージェスゥゥゥゥーーー!!!?」


大柄な彼に。

薬草摘みのような細かい作業は、絶望的なまでに向いてなかったようだ。


プリンちゃんは諦めろ。


「あんたは、薬草農家の主人にはなれないな…」


「む、無念!! プリン…ちゃん…。うぅぅ…。でも! やはり、可愛いかった…、ぐふっ…」


そう言って、今度こそ本当に事切れた(寝た)。

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