01 ありふれた追放①
「というわけで、アルバスくん。キミは、クビだ」
最近よく聞くフレーズな気がするのだが、まさか自分の身に起こることになるとは…
5分前の俺にとっちゃ、これは思いもよらない事態だ。
いや…
実は…
薄々感づいてたりしていた。
そりゃそうだよなっていう思いも、実はどこかにあったりもする。
なにせ俺…弱いし
そんなことを、どこか他人事のように考えていた。
場所はヤック村の盛り場。
周りの冒険者達が、何事かと俺たちを遠巻きに眺めていた。
「なぜなんだ、ライアン!? 俺たちは、長い付き合いだったじゃないか」
一応、一縷の望みをかけて情に訴えてみた。
でも、それなりに長い付き合いだ。
逆に…
たぶんもう無理なんだろうなぁって思ってたりもする。
目の前の、30過ぎには見えない若造のイケメン。
勇者ライアンは、言い出したら絶対に曲げない性格だ。
「悪いが…これは決定事項だ」
勇者ライアンが冷たく言い放った。
「昨晩の幹部会議で、全員一致で決まったことだ」
余計な一言まで付け加えやがる。
幹部会議。
いやらしくも、羨ましさを秘めたその響き。
「アルバスくん。君はこの俺のパーティ『黎明獅子団』の結成当初からの最古参メンバーだった。こんなことになってしまい、俺としても心苦しい限りだ」
ライアンの言葉でうなだれる俺を「黎明獅子団」の幹部達が、ニヤつきながら眺めていた。