20話 しずくとサンドイッチ(運動付)
神舌家が誇る巨大別荘。そこに私としずくの2人で訪れた。
別荘の隣の広場は巨大な運動公園となっており、長期休暇中は市民に開放して有名なスポーツ場となっている。
そんな運動公園でしずくはいま……死にそうな顔で走っていた。
「お、お嬢様……これ……しんどいです……」
「はい、あと一周」
「ひぃぃ……」
心を鬼にしてしずくを送り出した。しずくはここ最近の食事のせいで太ってしまった。だから今日、しずくを痩せさせるためにこうして運動公園に来たわけ。
しずくにコート3周を走らせたら私も運動に参加する。しずくとキャッチボールをしたり、サッカーボールを使ってパスをするなどの軽いエクササイズだ。
今日は髪を結って邪魔にならないようにした。私はもう少し短くてもいいんだけど、お母様とお父様が許してくれない。
「ポニテお嬢様も尊い……ぶっ!?」
「……ごめん。でもしずく、運動中によそ見は危ない」
私の蹴ったサッカーボールがしずくの脛に直撃した。まぁまぁ威力あったから痛かったと思う。
「な、何も言い返せません……そろそろお昼にしましょうか」
「ん」
今日はしずくの手作り……ではなく、メイド長が作ってくれたサンドイッチだ。シェフと共同で作っていて、栄養素から何までをすべて計算し尽くされているらしい。
「ん〜! さすがメイド長とシェフさんの共同料理ですね〜。すごく美味しいです!」
「……」
美味しいかと聞かれれば美味しい。でも1番にその言葉が出る食べ物じゃない。
なんていつも通りのことを思いつつ、食べてみた。すると……
「……美味しい」
意外にも1番に美味しいと言えた。なんで? いつもは絶対にそんなことないのに。
いつもと違う点といえばしずくくらい……
「? どうしました?」
いや、もしかしたらそうなのかも。
しずくと一緒だから、ご飯が美味しくなるのかもしれない。




