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覆装殻 オーバーギア  作者: 蔵本
始まりは毎度晴れ
1/3

モノの回路



 私は器物。

 私はモノ。

 命をもたず、生を受けた。

 生命の器、覆う物、守り手としての、生を受けた。

 空の器に命を満たす、庇護する者の、生を受けた。


 それは果たして、生なのか。

 それは今も、わからない。

 答えは今も、得られない。

 幾度なのか忘れるほどに、長く短い時間を超えた。

 玉響の時を、重ねてきた。

 穏やかな夜も、越えてきた。

 賑やかな朝も、越えてきた。

 今もそれは、判らない。

 解することは、敵わない。

 問うても、乞うても、叶わない。




◆◆◆



 火


 そう、火だ。


 ただ在るだけで、命を繋ぐ。

 ただ有るだけで、命を奪う。

 

 最初の記憶は、猛る火だ。

 輝き光る、猛る火だ。

 明るく照らす、眩い炎。

 

 一面が、見渡す限りが、地平の果てまで。

 空が、大地が、燃えている。


 ヒトも獣も分け隔てなく、生命が、燃えている。

 分別はなく意思はなく、生を融かし、燃えている。

 命を焦がし、燃えている。


 そこには確かに、営みがあった。

 そこには確かに、心があった。

 そこには確かに、諍いがあった。

 ここには確かに、命は無い。

 

 つい今ほども、混沌はある。


 滅ぼさなくてはならない。

 滅びなくてはならない。

 全て、あまねく生命は、滅ぶべきなのだ。

 

 静かな海に、帰るべきなのだ。

 


 


 --火は 嫌いだ。







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