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王族に買われた少女の魔法基礎概論  作者: あかろう
アルスン帝国①
4/7

マシュープラン

魔導士のレベルこそが絶対だというこの世界の通説を覆すことが俺の夢であり目標だった。

しかし、多くの者はそれを叶わない夢だと笑う。

魔導士のレベルは絶対で、それ以外の要因など戦場において意味がないことはこれまでにも様々な現場で証明され続けて来た。


そんな俺に……いや、世界に、衝撃的なニュースが飛び込んだのは暑い夏の時期が終わりを迎え、肌寒さを感じるようになった秋の始めだった。


【ロドシンの天才魔法戦術士 マシュー・テイラーが演習において高レベル魔導士を含まない部隊でのレベル7の一定以上の足止めに成功】


ロドシン帝国に住んでいる16歳の学生、マシュー・テイラーが編み出した戦術により、演習ながらもレベル7の魔導士の足止めに成功した、というニュースが世間を騒がせた。


何も知らない者であれば「ただの足止めか」と思うかもしれないが、基本的に高レベル魔導士が含まれていない部隊がレベル7の魔導士と戦闘をした場合には10分と持たない。

つまり、足止めどころの問題ではないのだ。


マシュー・テイラーが編み出した「マシュープラン」の内容に関しては軍事機密とされていて世間に漏れることはないが、これは本国のようにレベル7の魔導士がいない国にとってはかなり勇気を与える内容だった。

単純なレベルではなく、戦い方次第で戦局を大きく左右させる可能性があるというのは、大国に怯える国にとっては希望だった。


「不可能じゃない! 不可能じゃないぞ! レベルは絶対じゃない! この発表は世界にとってとてつもなく大きな意味がある! 揺らぐ! 世界が揺らぐぞ!」


まだレベル絶対主義という現状に変化が起きた訳ではない。しかし、この発表……マシュープランの出現が明らかに大きく世界を変える可能性を含んでいると、その前触れのように俺には感じられた。


だが、それと同時に、レベル7の魔導士を保有している大国にとっては、この発表というのは決して望ましくないだろうと、揺れ動く今後の世界情勢に対して心配を抱いた。


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